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MRP(資材所要量計画)は製造業において欠かせない存在ですが、「自社のMRPシステムを見直したい」「実は十分に使いこなせていない」という方も多いのではないでしょうか?
実際に、私たちもお客様から「MRPシステムを見直したいんだけど…」というような相談を受けます。
しかし実際には、見直す提案をすることもありますが、運用面の改善を提案させていただくということも多くあります。なぜなら、MRPシステムを見直したいというお客様の思惑の裏に潜んだ真の問題点を私たちは知っているからです。
この記事では、その「真の問題点」が一体何なのか、そしてそれを解決するための運用の改善にはどんなものがあるかをお伝えします。
今回はMRPシステム導入後によくある問題点を2つ挙げてお話します。
導入後によくある問題点として、注文変更をはじめとする計画変更に弱い点が挙げられます。
お客様から注文変更を受けて、作業工程、スケジュール計画も大きく変わります。MRPシステムを導入することによって、原料や部品の調達に必要な時間を調整できるようになります。
しかし、システムは計画通りに運用されることを前提としているため、納期遅れをはじめとする計画の変更が生じると、数量の調整、設備の調整、人員の作業予定の調整など計画の変更に伴い様々な情報を調整し、変更登録をしなければいけません。せっかくシステム内で計算された計画も、イレギュラーな対応は人の作業で直さなければいけませんからミスも起こりうるし、時間も手間もかかります。
他にも挙げられる問題点として、MRPシステムの運用精度があります。
MRPシステムで使用するデータの精度が十分でないために、運用がスムーズにいかない場合もあります。具体的には、部品表の粒度が荒かったり、マスターデータの見直しが行われていなかったり、計画が古い状態のままだったりといったケースが挙げられます。
そして、これらの問題は、いくらMRPシステム自体を入れ替えた所で、根本的な解決にはなりません。MRPシステムを入れ替える事で、少しの改善は出来るかもしれませんが、入れ替えによる費用や手間のほうが大きくなってしまいます。
では、どのように改善していけば良いのでしょうか。
MRPシステムを変えられないのであれば、運用方法を見直してみましょう。
先ほどよくある問題点としてあげた、「注文変更をはじめとする計画変更に弱い点」にはどんな改善策が考えられるでしょうか。
注文変更は取引先の都合次第なので、自社では対処しきれません。しかし、注文変更がおきても自社でカバーできる点があります。それは計画変更による納期遅れを出さない、または短くするという点です。注文変更によって計画変更が起こり、納期に間に合わないことは多いのではないでしょうか。
お客様による変更時でも、納期を遅れさせない、または短くすることで、会社の信頼性も向上します。
納期遅れの原因として、材料部品が注文できていない、人手不足や設備能力不足などが挙げられます。しかし、これらの問題点は複数、同時に発生しているため、なかなか実行できないのが現状です。
そこで、まず初めに行って頂きたいアプローチとして、不良を減らすという点に注目して見てください。不良を減らすというのは、最低限、満たすべき品質を上げて、不良による作り直しを、まず防止する。という意味です。
人手不足、設備能力不足、欠品問題などは、工程単位に遅れを生じさせます。その影響は連鎖的に波及していくのですが、まだ読みが可能です。しかし作り直しは、どの工程まで後戻り・問題が生じているのか、全く見えないという点でもっと大きな遅れの原因になることがあります。
そして、不良改善には、工程管理方法を見直すことが効果的です。
まずは、日々の工程上の数値(製品品質に関する管理数値)を記録します。これらの数値をもとに管理図を作成することで、現在設備が正常に稼働しているか、何らかの異常が発生していないかなど、工程が今、正常かどうかを判断できます。生産工程での各種数値や製品などの抜き取り検査で得られた情報を、統計的に処理することで、現在の生産工程の状態が正常範囲かどうかを見極め、何らかの異常が発生する危険性を事前に察知することで、不良改善に繋がります。
MRPシステムを使いこなすためには、何をしたいかを明確にし、今あるMRPシステムの機能を把握・活用しましょう。
MRPシステムの見直しは、新しいMRPシステムの導入検討からはじめるのではなく、まずは、現在のMRPシステムが使いづらい原因を究明し、問題点を明確にすることからはじめます。それにより、コストのかかるシステムの入れ替えをしなくても、運用を変えることで使いやすいMRPシステムに変わる場合もあります。
今回のようにシステムを入れ替えないことが全て正しいというわけではありません。他にも改善する点は各会社によって異なります。
改善方法が分からない、自社のなかで解決できないこともあると思います。
そんなときは、是非一度、アイ・エス・アイソフトウェアーにご相談下さい。問題点を一緒に解決していきましょう!