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突然ですが、現行のシステムから新システムへの移行はできないと思われた経験がありませんか。ホームページや、各種説明会等に参加した際に新システムの画面を見て、次のように感じた方もいるのではないでしょうか。
上記のような理由で新システム導入を諦めていませんか。もしかしたら、新システム導入、システム刷新による業務効率化のチャンスを逃してしまっているかもしれません。
では、現行のシステムと新システムとの差異はどのように解消すればよいのでしょうか。
本記事では、この差異を解消するための「Fit&Gap(フィット&ギャップ)分析」についてご紹介します。
現行のシステムと新システムの間の差異については、要件定義時にFit&Gap分析を行うことで把握することができます。
Fit&Gap分析とは、現行のシステムの機能と新システムの機能を比較し、変更が必要がない箇所(Fitしている箇所)と変更の必要がある箇所(Gapがある箇所)を洗い出すことです。
Fit&Gap分析では、新システムが現行のシステムと乖離しているかどうかを確認します。あまりに乖離している(つまりFitしていない)場合は、新システムへの移行のコストが増大することが確認でき、逆に乖離していない(Fitしている)場合は、新システムへの移行のコストが想定よりかからない可能性があると判断できます。
では、実際Fit&Gap分析はどのように進めていけばよいのでしょうか。以降の章にて説明します。
Fit&Gap分析の進め方は以下の通りです。
①企業担当者側で現行のシステムの機能を洗い出す。
②ベンダー側が現行のシステムと新システムとを比較して差異を確認していく。
③差異を確認し、双方でさまざまな観点からカスタマイズやアドオンが必要か検討する。
確認の作業にはなりますが、丁寧に詳細を洗い出していくことが重要になります。
Fit&Gap分析を行う際の注意点として、以下のようなことが挙げられます。
①企業担当者側で、現行のシステムの機能はできる限り詳細に洗い出す。
現行のシステムで使用している機能の一覧ではなく、存在する機能をもれなく一覧化し、使用している/していないを整理することが望ましいです。一覧の洗い出しからもれた機能があると、後からの機能追加が必要になります。基本的にシステムは連動している場合が多いため、後からの機能追加は大きな修正を発生させ、コストの増大、スケジュール遅延等に繋がります。
②企業担当者側で、現状のシステムの機能以外に周辺システムがあれば、システム構成を漏れなく洗い出す。
周辺システムへのインターフェース(ファイル送信等によるデータ連携)などがある場合には、丁寧に洗い出しておかなければ後から追加設定や追加改修が必要となってしまうケースもあります。
③分析を行う際は、現場の業務ユーザも巻き込んで行い、現行業務の把握および業務に応じたシステムの必要有無を整理する。
早めに現場の業務ユーザの意見を反映していかなければ、後の工程になって不備が出てくるなど、修正の手間や追加のコストが発生してしまう可能性があります。
例えば、一見同じ機能であっても、現場ベースでは操作感が異なることで別物に感じてしまう可能性があるでしょう。加えて、現行のシステムで用意されている機能が現場ですべて使われているとは限らず、今後利用しない機能は整理しておかないと、無駄な機能開発を行ってしまい、開発コストがかかってしまいます。
企業側担当者様のみで機能の整理を行い、現場の業務ユーザを巻き込まない場合、現場の一部ユーザが使用していた機能を企業側担当者様が誤って今後利用しない機能としてしまい、あとで開発機能を追加することになるケースや、反対にどのユーザも使用していない機能を開発してしまうケースが発生し、無駄にコストがかかってしまいます。
また、実作業の担当者が自社以外の協力会社のメンバーで、意見があっても発言権、決定権がないケースも想定されます。この場合、現場部門業務の管理権限者の協力(都度時間を取って判断する)を得て、協力会社のメンバーに参加する、もしくはそのメンバーに任せてしまう(権限を与える)等の対応をしないと、現場の業務ユーザを巻き込むことができないことに注意が必要です。
以下の表は、Fit&Gap分析の結果とその対応方法をまとめたものです。
各対応方法のメリットとデメリットは次のようになります。
①Fitする場合
メリット:システム再構築の手間やコストが発生しない。
デメリット:特になし。
②一部Gapありの場合
メリット:システム再構築の手間やコストを抑えられる。
デメリット:開発費用や保守費用など適用のためのコストは低いが、発生はする。
③Gapありでアドオン開発を行う場合
メリット:既存業務の変更なしで、現状の課題を解決できる。
デメリット:開発費用や保守費用など適用のためのコストが発生する。
④Gapありで新システムに合わせて業務変更を行う
メリット:システム再構築の手間やコストが発生しない。
デメリット:現場の再教育や業務ルール変更などの負担が発生する。
⑤Gapありで他システムで賄う
メリット:新システムのカスタマイズ開発、アドオン開発よりもコストが低い。
現行業務がエクセルマクロ等でデータ連携が不要の場合、新システムで対応するメリットは薄く、この選択肢となる。
デメリット:新システムにデータ連携が必要な場合、データ連携機能が必要となり、追加機能の開発が必要となる。
現行のシステムの機能すべてについて、対応方法を上記5パターンの中から選択していきます。
また、機能毎のFit&Gap分析完了後、機能毎のFit&Gap分析に従い作成した新業務フローから、機能毎のFit&Gap分析内容の見直しが必要になります。本当にそのカスタマイズで業務が回るのか、決定した対応を前提とした新業務フローについて、スムーズに業務が可能か確認し、問題があれば修正する必要があります。
現行のシステムと新システムとの差異の解消するためのFit&Gap分析について、本稿で解説いたしました。システム導入後のミスマッチを防ぐためにも、漏れなく分析を行い、システム導入を成功させましょう!
弊社アイ・エス・アイソフトウェアーでは、基幹システム「GRANDIT」を取り扱っております。Fit&Gap分析を行う際の「GRANDIT」の機能に関するご質問やお悩みについては、弊社までお問い合わせください。また、各基幹システムの機能など概要をまとめたERP比較表もご用意しております。ぜひご覧ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!