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2023年6月9日

損益計算書の基本的な見方と2つのポイント

みなさんは、損益計算書を正しく読めていますか?「うちの会社は利益が出ているから大丈夫」そう思っていませんか?
その利益は実は副業で出したもので、本業は火の車なんてことも考えられます。損益計算書を正しく読むことで、利益が本業と副業のどちらで出ているかということもわかります。
財務諸表のメインである財務三表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書)から、損益計算書の基本的な見方と、ここだけは押さえたいという2つのポイントを解説します。

 

1. 損益計算書とは?

損益計算書はP/L(Profit and Loss Statement)とも呼ばれ、企業の一定期間の経営成績を「収益」「費用」「利益」から見ることができるものです。
つまり、今期(一定期間)、会社はどれだけお金を稼いで(収益)、どれだけお金を使って(費用)、いくら残っているのか(利益)がわかるようになっています。
また、「収益」「費用」「利益」は、それぞれ「会社の本業の経営成績」「会社の通常の経営成績」「最終的な経営成績」の3つの経営成績に分けることができます。

損益計算書の一例

では、損益計算書について詳しく見ていきましょう。

1-1. 会社の本業の経営成績

会社の本業の経営成績は、収益である「売上高」、費用である「売上原価」「販売費及び一般管理費」、収益から費用を引いて求めた利益である「売上総利益」「営業利益」で見ることができます。
※会社の本業とは、定款に記載されている事業目的を指します。

売上高
売上高とは、会社の本業によって稼いだお金の合計です。
売上高は、金額の大小にかかわらず、本業以外の稼ぎは含まれません。
本業の稼ぎが100万円あり、副業の不動産収入が200万円ある場合でも、本業の100万円のみを売上高とします。

売上原価
売上原価とは、売れた商品に対してその商品を用意するのにかかったお金のことです。
製造業なら製造するのにかかった費用、小売業なら仕入れをするのにかかった費用などが含まれます。

原価については、別の記事にて詳しく説明しておりますのでご参照ください。
原価管理を学ぶ「原価とは何か?」

売上総利益
売上総利益とは、売上高から売上原価を引いて求められる利益です。「粗利益(粗利)」とも呼ばれます。

売上総利益 = 売上高 - 売上原価

売上総利益は、商品の原価に対していくら利益を上乗せして売り上げたかがわかるため、その商品が稼ぐ力を表しているとも言えます。

販売費及び一般管理費
販売費及び一般管理費とは、商品を販売するために使ったお金のことです。「販管費」と略して呼ばれることもあります。
「販売費」と「一般管理費」で構成され、「販売費」には販売のために使ったお金(営業部門の人件費、広告費など)、「一般管理費」には会社を運営・管理するのに使ったお金(間接部門の人件費、事務所家賃など)が含まれます。

営業利益
営業利益とは、売上総利益から販売費及び一般管理費を引いて求められる利益です。

営業利益 = 売上総利益 - 販売費及び一般管理費

営業利益は、本業で稼いだお金から本業で使ったお金を引いて残ったお金ですので、会社が本業で稼ぐ力を表しているとも言えます。

1-2. 会社の通常の経営成績

会社の財務活動の経営成績は、本業の経営成績で計算された「営業利益」と、収益である「営業外収益」、費用である「営業外費用」、収益から費用を引いて求めた利益である「経常利益」で見ることができます。

営業外収益
会社の本業以外で稼いだお金が営業外収益です。
営業外収益は家賃収入や受取利息など、本業以外で稼いだお金のうち、突発的ではないものを指します。

営業外費用
会社の本業以外で使ったお金が営業外費用です。
営業外費用は借入金の支払利息など、本業以外で使ったお金のうち、突発的ではないものを指します。

経常利益
経常利益とは、営業利益に営業外収益を足して営業外費用を引いて求められる利益です。

経常利益 = 営業利益 + 営業外収益 - 営業外費用

経常利益は、名前に「経常」がつく通り会社が「通常の活動」を行って稼ぐ力を表しています。
また本業の経営成績に会社の財務成績を含めた利益とも言えます。

1-3. 最終的な経営成績

最終的な経営成績は、会社の通常の経営成績で計算された「経常利益」と、収益である「特別利益」、費用である「特別損失」、収益から費用を引いて求めた利益である「税引前当期利益」「当期利益」で見ることができます。

特別利益
会社の本業以外で臨時に稼いだお金が特別利益です。
特別利益は固定資産を売却した利益などが含まれ、通常は発生しない突発的に稼いだお金という点が営業外収益と異なります。

特別損失
会社の本業以外で臨時に使ったお金が特別損失です。
特別損失は災害損失や盗難損失などが含まれ、通常は発生しない突発的に使ったお金という点が営業外費用と異なります。

税引前当期利益
税引前当期利益とは、経常利益に特別利益を足して特別損失を引いて求められる利益です。
毎期の繰り返しを見込める経常利益に、今期に臨時で発生した損益を含めた利益で、今期の実際の利益と言えます。
なお、特別利益と特別損失は、「特別」な場合以外は発生しないこともあります。どちらも発生していない場合、経常利益と税引前当期利益が同じ値になります。

当期利益
当期利益とは、税引前当期利益から法人税等を引いて求められる利益です。「当期純利益」「最終利益」とも呼ばれます。

当期利益 = 税引前当期利益 - 法人税等

税金を引いた後の最終的な今期の利益で、この利益が株主配当や内部留保として使われます

2. 損益計算書 ここをチェック!

では次に、損益計算書のチェックポイントを見ていきましょう。

2-1. 5つの利益が「利益」になっているかチェック

損益計算書をチェックするとき、最初に確認したいのは「利益がマイナスになっていないか」です。利益がマイナスの場合は「損失」と表します。
特に、会社の通常の利益である「経常利益」がマイナスになっていないかどうかは重要なポイントです。
最終的な「当期利益」がマイナスでない場合でも、「経常利益」がマイナスということは、会社が通常の事業をしているときは赤字で、それを補填するために固定資産の売却等で「特別利益」を生みだしていることが考えられます。そういった場合、売却するものがなくなると「当期利益」もマイナスになる恐れがあるため、事業や資金計画の見直しが必要になります。

2-2. 「売上高利益率」の分析で収益性がわかる

売上高利益率とは、売上高を100とした時、利益がどれぐらいかの比率を計算したものです。
主な3つの売上高利益率「売上総利益率」「売上高営業利益率」「売上高経常利益率」を計算することによって、会社のどの部分に収益性があるのかがわかります。

売上総利益率
売上総利益率は、「売上高」と「売上総利益」で計算し、売上原価にどれだけの利益を上乗せしているかがわかる指標です。粗利率とも呼ばれています。

売上総利益率(%)= 売上総利益 ÷ 売上高 × 100

売上総利益率は、数値が高いほど「利益の大きい商品=付加価値の高い商品」を販売していることになります。
ただし、売上原価の考え方は業種によって大きく異なるので、売上総利益率を比較するときは、同業種または自社の過去データと比較する必要があります。

売上高営業利益率
売上高営業利益率は、「売上高」と「営業利益」で計算し、本業でどれだけ稼げるかがわかる指標です。

売上高営業利益率(%)= 営業利益 ÷ 売上高 × 100

売上高営業利益率は、数値が高いほど「会社が本業で稼げる力=会社の収益力」が強いということになります。
売上高営業利益率も売上総利益率と同様に、比較するときは同業種または自社の過去データと比較する必要があります。

売上高経常利益率
売上高経常利益率は、「売上高」と「経常利益」で計算し、正常に事業活動をしている場合にどれだけ稼げるかがわかる指標です。

売上高経常利益率(%)= 経常利益 ÷ 売上高 × 100

売上高経常利益率は、数値が高いほど「財務活動も含めたトータルの会社の収益力」が強いということになります。
一般的に売上高経常利益率が4%以上なら優良企業、5%以上なら超優良企業と言われており、0%を下回っている場合(=利益が赤字の場合)は、収益を上げる、費用を抑えるなど、利益を出すために何らかの改善が必要です。

まとめ

今回は損益計算書の基本的な見方とそのポイントに関してお伝えしました。
損益計算書を読むことでわかることとは、

  • 今期の会社の経営成績
  • 会社の収益力

また、損益計算書は、過去のデータと見比べることによって会社がどれだけ収益力を伸ばしているかがわかります。損益計算書を見るときは、当期分だけでなく過去分も再確認するようにしましょう。

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損益計算書と切っても切り離せないのは財務三表の貸借対照表です。
同時にチェックすることで、それぞれの効果的な見方の理解がより一層深まります。

15年前からERP導入に携わっており、2010年よりGRANDITパートナー企業として、提案から導入までサポートさせていただいております。
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