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システム導入のプロジェクトを進めていく中で、企業がしばしば直面するのが「どれだけシステムをカスタマイズするか」という問題です。
特に、ERPや業務システムとしてパッケージを導入する際、標準機能をそのまま使うべきか、それとも業務に合わせてカスタマイズすべきか悩むことがあるのではないでしょうか。そんな時に注目したいのが「Fit to Standard」というアプローチです。
今回は、システム導入時の「Fit to Standard」についてご紹介します。
「Fit to Standard」とは、システムの標準機能をできるだけ活用し、業務をシステムに合わせるアプローチです。簡単に言うと、システムが提供する標準機能を最大限に活用して、企業の業務をその標準に合わせるという考え方です。
このアプローチを取ることで、企業はシステム導入後のトラブルを減らし、安定した運用を維持することができます。もちろん、すべての業務が標準機能で対応できるわけではないので、どの部分を標準機能でカバーし、どの部分にカスタマイズを加えるかの判断が重要になります。
システム導入時に「Fit to Standard」を採用する際、まずは自社の現行業務プロセスを洗い出し、そのプロセスがシステムの標準機能でどこまで対応できるかを評価します。
この段階では、標準機能がどれだけ自社現行業務に適しているかという評価をおこないます。
Fit to Standardで重要なのは、もし標準機能で対応できない部分が検出された場合、その部分に対してシステム改修で解決するのではなく、現行業務プロセスをシステムに合わせる(=業務プロセスの標準化)で解決を図ることです。
そのため、Fit to Standardを実現するには、システム導入企業側の強い意志と全社での意識共有、推進力のああるPMOが必要となります。
重要なのは、カスタマイズが必要な部分を最小限に抑え、できるだけ標準機能を活用することです。このアプローチは、長期的なシステム運用を見据えて、コスト効率を高めるために非常に有効です。
「Fit to Standard」に関係する用語に「Fit&Gap」があります。
「Fit&Gap」は、システム導入時に標準機能が業務に完全に適合する部分(Fit)と業務に合わせて変更・カスタマイズが必要な部分(Gap)を洗い出して、その差分を埋める方法です。
この分析を通じて、自社の業務に必要なカスタマイズがどの程度必要かを明確にし、Fit to Standardのアプローチを採用するか、あるいはカスタマイズを行うべきかを判断します。
Fit to Standardを選択する場合、Gapが最小限であることが理想的ですが、もしGapが大きい場合は、そのGapをどう埋めるかを慎重に考える必要があります。時には、Fit to Standardの方針を探るために、業務プロセスの見直しや標準化を進める必要があることもあります。
♦参考記事
システム導入時に行うべき「Fit&Gap分析」とは?
「Fit to Standard」は標準機能を活用するため、カスタマイズや追加開発を減らすことができます。これにより、システム導入にかかる初期投資や運用コストを抑えやすくなります。
カスタマイズを避けることで、システム導入にかかる時間が短縮されます。標準機能での運用が基本となるため、すぐに本稼働できる可能性が高くなります。
標準機能はすでに多くの企業で使用されている実績があり、バグや不具合も少なく、安定性が高いです。カスタマイズが少ないほど、システムのアップデートや保守もスムーズに行えます。
標準機能を使用することで、業務プロセスが一貫性を持ち、効率化が進みます。特に、企業が異なる部門間で統一された業務フローを実現したい場合には効果的です。
システムに合わせる形で業務プロセスを変更しなければならない場合があります。これにより、従業員が新しい業務フローに適応するための教育や時間が必要となります。
企業固有の特別なニーズに対して、標準機能がうまく対応できない場合もあります。このような場合には、業務を標準機能に合わせることができず、導入効果が最大限に発揮されないことがあります。
既存システムとのデータやプロセスの整合性を取るのが難しく、業務の円滑な移行が難航することも考えられます。
「Fit to Standard」とは、システムの標準機能を活用して業務を効率化するアプローチです。これにより、コスト削減やシステムの安定性向上、導入期間の短縮が期待できます。
しかし、業務プロセスの変更や柔軟性の制限など、デメリットも存在します。
企業の業務プロセスに最も合う方法を見極め、最適なシステム導入を進めていきましょう。
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