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皆さんは、遅々として進まない業務改善に苦労していないでしょうか。その要因の一つとして、多くの企業において、プロジェクト管理(プロジェクトマネジメント)の方法が正しく教えられてこなかった(また、若いうちから経験する機会が与えられてこなかった)ことが考えられます。
そこで今回は、プロジェクトを成功に導くプロジェクト管理について、体系情報として公開されている『プロジェクトマネジメント知識体系ガイド』を参考にご紹介いたします。
いつ何時、抜擢人事によるプロジェクトリーダーのお声が掛かるかわかりませんから、管理者になる前からしっかりとイメージトレーニングを(……くらいは)しておきましょう!
プロジェクト管理についてお話しする前に、まず「プロジェクト」とはどんな活動を指す言葉なのでしょうか。プロジェクト管理の技術と考え方を広めることを目的とする組織、プロジェクトマネジメント協会(以下、PMI)は、「独自の成果物、またはサービスを創出するための期限のある活動」を「プロジェクト」として定義しています。
そのように定義されるプロジェクトを成功に導くため、何をどのように管理するべきかについては、種々の組織で学問として研究されていますが、PMIの監修するプロジェクトマネジメント知識体系ガイド(PMBOK)が特に有名です。
社内の業務改善も「独自の成果物、またはサービスを創出するための期限のある活動」と言えますから、これを「プロジェクト」として位置付けてPMBOKを参考に運営を管理すれば、順調に成果を出せるようになるかもしれません。
それでは、ここからはあなたが「全社的に従業員の残業時間を減らす」というプロジェクトの管理を任されたと仮定して、プロジェクト管理において重要なポイントを3つご紹介します。
プロジェクト管理においてまず重要なのは、「ゴールを明確にすること」です。
プロジェクトの成功は期限、費用、品質の3つの指標で測ることになります。
いつから始めて、いつまでに、どれくらいの費用をかけて、どんなものを得るのか。この3つを明確にしておくことがプロジェクト管理には欠かせません。
「従業員の残業時間を減らす」というプロジェクトであれば、何月から何月までの期間に、どれくらいの増収または減収を前提にして、全体の残業時間を何時間減らすのか、を考えておくことが必要です。
それぞれの指標についての目標は具体的であること、測定可能であること、現実的であることが求められます。
このゴールの設定がうまくできていないと、いつまでも始まらない/終わらないといったことや、かかった費用の割に、得たものが小さかったといったことが起こってしまいます。
プロジェクト管理において重要な二つ目のポイントは、「利害関係者の合意を得ること」です。
明確なゴールとして定義された目標に対して、経営層や現場、協力会社など利害関係者の間で合意を形成し、誰が何に対して責任を負うのか、明確にすることが極めて重要になります。
残業時間削減のプロジェクトの場合は、それぞれの現場の責任者はもちろん、取引先や協力会社からもプロジェクトへの理解を得なければならないでしょう。
この合意がないと、関係者の協力が得られず、プロジェクトを進めることができません。
ゴールを明確にし、利害関係者からの合意を得ることができれば、いよいよ本格的にプロジェクトを進行させることになります。
しかし、進行していくプロジェクトを管理する際、次々と発生する課題に行き当たりばったりに対処していたのでは、望んだ通りの成果を得ることは難しいでしょう。
PMBOKでは、管理すべき対象を「コスト」「品質」「リスク」など10分野に分け、「立ち上げ」、「計画」、「実行」、「監視・コントロール」、「終結」のプロセス群ごとに、その段階で何を行うべきかを標準化しています。プロジェクトの規模や特徴に合わせて、この中から必要なものをアレンジして利用することになります。
残業時間を減らすプロジェクトであれば、「計画」の段階では「リスク」について何を行うべきか、「コスト」についてはどうか……など、プロジェクトの規模や特徴に合わせて、この中から必要なものをアレンジして利用することになります。
①ゴールを明確にし、
②利害関係者からの合意を得て、
③有効な手順を守る。
あらためて言葉にすれば当たり前のことのように思われるかもしれませんが、プロジェクト管理において重要なポイントは以上の3つです。
まずはじめに、御社の状況に照らし合わせてみて、以上の3点の何が達成できて、何が足りなかったのか、分析してみてはいかがでしょうか。
プロジェクト管理の手法を上手に利用して、あらゆるプロジェクトを成功に導きましょう。
業務改善も1つのプロジェクトとして当てはめることができれば、上手く運ぶことでしょう。
問題が何かさえわかれば、あとは解決するのみとアインシュタイン博士も言っています。