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2025年10月17日

Peppolインボイス導入ガイド:企業への影響と検討点

1. はじめに:Peppolインボイスとは

日本でのインボイス制度導入と電子帳簿保存法の施行により、企業の経理業務デジタル化への関心が高まっています。その中で注目されているのが「Peppol(ペポル)」という電子インボイス交換の仕組みです。

本記事では、Peppolインボイスの仕組み、企業への影響、導入時の検討点について客観的に解説します。

2. Peppolの仕組みと特徴

2.1 基本的な仕組み

Peppolは、企業間で電子インボイスを標準化された形式で交換するための国際的な枠組みです。異なる会計システムやERPシステムを使用する企業同士でも、共通の規格を通じてデータ交換が可能になります。

2.2 主な特徴

  • 標準化されたデータ形式:UBLやCIIなどの国際標準に準拠
  • ネットワークインフラ:安全なデータ交換を支える通信基盤
  • 相互運用性:異なるシステム間でのデータ連携が可能
  • 国際対応:現在約30カ国・地域で採用されている

2.3 期待される効果

導入により以下のような効果が期待されます。

  • 請求書処理の自動化による作業効率向上
  • 手作業によるデータ入力ミスの削減
  • 郵送費などの物理的コストの削減
  • 会計システムへの自動データ取り込み
  • 監査証跡の自動記録

ただし、これらの効果は企業の規模や現在の業務プロセス、システム環境によって異なります。

3. アクセスポイントについて

Peppolを利用するには「アクセスポイント」と呼ばれるサービスが必要です。これは、企業のシステムとPeppolネットワークをつなぐ窓口の役割を果たします。

企業は認定されたサービスプロバイダーからアクセスポイントサービスを契約し、Peppolネットワークに接続することになります。

4. 電子帳簿保存法との関係

電子帳簿保存法では、電子取引データの電子保存が義務付けられています。2023年12月末で猶予期間は終了しましたが、現在も一定の条件下で宥恕措置が適用されています。

Peppolで受領したインボイスデータは、電子帳簿保存法の要件を満たす形式で提供されるため、法令対応の一助となる可能性があります。

5. 導入状況と動向

大企業を中心にPeppolの導入検討が進んでいますが、全体の普及率はまだ限定的です。一部の大手企業では実際の運用が開始されており、今後サプライチェーン全体への拡大が予想されます。
また導入検討に影響する事項としては以下が挙げられます。

  • 取引先からの要請
  • 経理業務の効率化ニーズ
  • 法令対応の必要性
  • 国際取引の増加

6. 導入時の検討事項

導入に当たっては技術面、業務面、費用面で検討事項が考えられます。
技術面では、

  • 既存システムとの連携が可能かどうか。
  • どのようにデータ形式を変換するか。
  • セキュリティ上の懸念がないか。

業務面では、

  • 現在の業務プロセスとの適合できるか。
  • 承認フローの見直しが必要ないか。
  • 取引先は対応可能か。
  • 従業員に新たなスキルが必要にならないか。

また費用面としてはPeppol導入には以下の費用が発生します。 費用対効果は企業の取引量や現在の処理コスト、システム環境によって大きく異なるため、個別の検証が重要です。

  • 初期費用:システム導入・改修費用、アクセスポイント設定費用
  • 運用費用:月額利用料、従量課金、保守費用
  • 間接費用:業務フロー見直し、従業員教育費用

7. 基幹システムへの影響

Peppolの導入にあたって基幹システムへは、Peppol標準フォーマットへの対応機能の追加の他にも、既存の業務プロセスとの整合性やデータ連携機能に影響を与える可能性があります。
特に老朽化したシステムを使用している場合は、システム刷新の検討機会となる場合もあります。

8. まとめ

Peppolインボイスは、企業の経理業務効率化と法令対応を支援する仕組みの一つです。ただし、その効果や適用可能性は企業によって大きく異なります。
導入を検討する際は、

  • 自社の現状分析(取引量、システム環境、業務プロセス)
  • 費用対効果の詳細検証
  • 取引先の動向把握
  • 段階的な導入計画の策定

これらを総合的に評価し、自社にとって適切なタイミングと方法での導入を検討することが重要です。

参考サイト

15年前からERP導入に携わっており、2010年よりGRANDITパートナー企業として、提案から導入までサポートさせていただいております。
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