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2025年9月2日

「また今月も紙の山…」月末の領収書地獄から経理担当者を解放する業務標準化術

あなたの会社でも起こっていませんか?この光景

月末になると、経理部門の机には従業員から提出された領収書が山積みになる。手書きの経費精算書と照らし合わせながら、一枚一枚確認していく作業。感熱紙で文字が薄くなったコンビニのレシート、折れ曲がった電車の切符、糊付けが甘くて剥がれかけた領収書…。

さらに困ったことに、従業員ごとに提出方法がバラバラで、ある人は領収書を時系列順に並べ、ある人は順不同で貼り付け、また別の人は封筒にまとめて提出するだけ。経費精算書の記載方法も人それぞれで、「○○代」としか書かれていないような不明瞭な申請も少なくありません。

「この作業、もっと効率的にできないだろうか?」

そう思いながらも、内部統制の観点から省略することはできず、結果として月末・月初は連日残業が続いてしまう。この「紙の領収書との格闘」を、高額なシステム投資なしで改善する方法をご紹介します。

なぜ「紙の領収書チェック」はこれほど負担になるのか?

問題の本質は「属人化」と「標準化不足」

経理担当者が月末に苦労する根本原因は、実は技術的な問題よりも「業務プロセスの標準化不足」に原因があります。

従業員側の問題

  • 領収書の整理方法が人によって異なる
  • 経費精算書の記載内容が不統一
  • 提出タイミングがまちまち(月末駆け込み)
  • 不備があっても気づかずに提出

経理側の問題

  • チェック項目や手順が担当者によって異なる
  • 不備発見時の対応フローが不明確
  • 過去の修正履歴が蓄積されていない
  • ベテランの知識が共有されていない

システムはあるのに効率化されない理由

多くの企業で「経費精算システムは導入したものの、結局チェック作業は変わらない」状況が見られます。これは、システムが「申請・承認のデジタル化」に留まり、「業務プロセスの標準化」まで踏み込んでいないことが原因です。

解決策:「テンプレート化→標準化→自動チェック」の3ステップ改革

ステップ1:提出フォーマットの完全テンプレート化

まず、従業員の提出方法を統一するためのテンプレートを作成します。

  • 領収書台紙テンプレート(貼付位置を指定、経費項目記入欄を併記)
  • 経費精算書の記載ルール統一(用途は「○○代」禁止など具体的に)
  • 入力支援(プルダウン選択やサンプル例を提示)

ステップ2:チェックリストによる業務標準化

経理担当者のチェック作業を標準化し、誰でも同じ品質で処理できるようにします。

  • 【1次チェック】:形式(貼付・記入漏れ確認)
  • 【2次チェック】:内容(規程遵守・金額計算)
  • 【3次チェック】:システム入力(定型項目を一括入力)

ステップ3:不備パターンのデータベース化と予防策

過去の不備事例を蓄積し、予防策を講じることで、チェック工数を継続的に削減します。

  • 過去不備をデータベース化し、セルフチェックやガイド化
  • システム部門の支援が可能であれば、チェックルールをシステムに実装
  • 「紙ベースの改善」から「システムによる自動化」へと進化

この改革で実現する4つの劇的効果

効果1:月末処理時間の大幅削減が期待できる

標準化により1件あたりの処理時間の大幅な短縮が期待できます。また、テンプレート化とチェックリスト導入により、月末の残業時間削減と経理担当者の負担軽減を実現します。

効果2:処理品質の安定化

属人的だったチェック作業が標準化され、担当者が変わっても同じ品質を維持することが可能になります。

効果3:従業員の提出ストレス解消

明確なルールとテンプレートにより、従業員も「何をどう提出すれば良いか」が明確になり、不備による差し戻しが激減し、双方のストレスが解消されます。

効果4:継続的改善サイクルの構築

不備データの蓄積により、根本的な問題点を特定し、予防策を講じるPDCAサイクルが構築可能です。

導入成功の鍵:段階的展開と従業員教育

少しずつ段階的に進めることで、万が一発生する問題の量を、対応できる範囲に抑えることができます。

フェーズ1:パイロット導入(経理+一部部署)

システムリテラシーのあるメンバーや部署に絞って始めることで、取り組み自体の問題の洗い出しに集中できます。

フェーズ2:全社展開準備(教育・ガイド配布)

誤りなく均質な操作をしてもらうためにも、計画的な教育を考える必要があります。

フェーズ3:完全移行(定着化+改善・フォローアップ)

全社展開後も、問題の洗い出しや改善を通して、定着をフォローしていくことも考えておく必要があります。

まとめ

経費精算における「紙の領収書との格闘」は、いきなり高額なシステムを導入しなくても、まずは業務プロセスの標準化 によって大幅に改善できます。
さらにシステム部門の協力があれば、入力ルールの設定や不備データの集計など、標準化をシステムで支える仕組みも整えられます。

つまり、

  • 従業員は「出しやすく」
  • 経理は「処理しやすく」
  • 総務は「改善しやすく」

そして最終的には、標準化した業務プロセスを土台に、必要に応じてシステム化することで、より持続的な効率化を実現できます。

月末の「紙の山」を前にため息をつく日々から解放されるために、まずは「バラつきを無くすために何をテンプレート化すれば良いか」といったような小さな改善から始めて、全社での標準化へと発展させる取り組みを始めてみましょう。

15年前からERP導入に携わっており、2010年よりGRANDITパートナー企業として、提案から導入までサポートさせていただいております。
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