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月末になると、経理部門の机には従業員から提出された領収書が山積みになる。手書きの経費精算書と照らし合わせながら、一枚一枚確認していく作業。感熱紙で文字が薄くなったコンビニのレシート、折れ曲がった電車の切符、糊付けが甘くて剥がれかけた領収書…。
さらに困ったことに、従業員ごとに提出方法がバラバラで、ある人は領収書を時系列順に並べ、ある人は順不同で貼り付け、また別の人は封筒にまとめて提出するだけ。経費精算書の記載方法も人それぞれで、「○○代」としか書かれていないような不明瞭な申請も少なくありません。
「この作業、もっと効率的にできないだろうか?」
そう思いながらも、内部統制の観点から省略することはできず、結果として月末・月初は連日残業が続いてしまう。この「紙の領収書との格闘」を、高額なシステム投資なしで改善する方法をご紹介します。
経理担当者が月末に苦労する根本原因は、実は技術的な問題よりも「業務プロセスの標準化不足」に原因があります。
多くの企業で「経費精算システムは導入したものの、結局チェック作業は変わらない」状況が見られます。これは、システムが「申請・承認のデジタル化」に留まり、「業務プロセスの標準化」まで踏み込んでいないことが原因です。
まず、従業員の提出方法を統一するためのテンプレートを作成します。
経理担当者のチェック作業を標準化し、誰でも同じ品質で処理できるようにします。
過去の不備事例を蓄積し、予防策を講じることで、チェック工数を継続的に削減します。
標準化により1件あたりの処理時間の大幅な短縮が期待できます。また、テンプレート化とチェックリスト導入により、月末の残業時間削減と経理担当者の負担軽減を実現します。
属人的だったチェック作業が標準化され、担当者が変わっても同じ品質を維持することが可能になります。
明確なルールとテンプレートにより、従業員も「何をどう提出すれば良いか」が明確になり、不備による差し戻しが激減し、双方のストレスが解消されます。
不備データの蓄積により、根本的な問題点を特定し、予防策を講じるPDCAサイクルが構築可能です。
少しずつ段階的に進めることで、万が一発生する問題の量を、対応できる範囲に抑えることができます。
システムリテラシーのあるメンバーや部署に絞って始めることで、取り組み自体の問題の洗い出しに集中できます。
誤りなく均質な操作をしてもらうためにも、計画的な教育を考える必要があります。
全社展開後も、問題の洗い出しや改善を通して、定着をフォローしていくことも考えておく必要があります。
経費精算における「紙の領収書との格闘」は、いきなり高額なシステムを導入しなくても、まずは業務プロセスの標準化 によって大幅に改善できます。
さらにシステム部門の協力があれば、入力ルールの設定や不備データの集計など、標準化をシステムで支える仕組みも整えられます。
つまり、
そして最終的には、標準化した業務プロセスを土台に、必要に応じてシステム化することで、より持続的な効率化を実現できます。
月末の「紙の山」を前にため息をつく日々から解放されるために、まずは「バラつきを無くすために何をテンプレート化すれば良いか」といったような小さな改善から始めて、全社での標準化へと発展させる取り組みを始めてみましょう。