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2015年11月18日

各工場での生産管理の精度のばらつきを解決するには?

複数の工場を持つ企業において、各工場で生産管理の精度にばらつきがあることは、経営者にとってよくある悩みの一つです。例えば、『各工場の計画や実績の状況を、統一された管理精度で把握できない。』という声がよく聞かれます。これは、工場ごとの管理精度が異なっているため、工場間の計画や実績を比較した際に、そもそも比較にならない、一見同じように見えても実際は全く違う、という問題になります。

また、『必要なデータをすぐに利用できず、事業戦略など経営への活用が遅れる。』という声もよく聞かれます。こちらは、工場ごとに出せるデータの精度が違うため、全工場で統一の精度に変換する作業が必要となり、データを分析するまでに時間が掛かってしまう、という問題になります。日々刻々と変わる市場環境に対して、経営への打ち手が遅れてしまうのは致命的な問題だと思われます。

これらの問題は、全て生産管理の精度が工場ごとに違っていることが原因だと思われます。本コラムでは、生産管理の精度にばらつきがある原因を明確にし、どうすればそのばらつきを解決することができるのか、解決することによって何が得られるのかを順を追って考えたいと思います。

工場によって生産管理の精度がなぜ違うのか?

それでは、なぜ工場によって生産管理の精度が違うのでしょうか?工場を取り巻く製造業務の実態からその原因を探ってみましょう。

生産管理の精度にばらつきがある企業においては、各工場でそれぞれ独自に最適化された業務プロセスで製造を行っているのが現実です。これらの工場では生産性を上げるためにそれぞれ独自に様々な努力をしています。工場のシステムは、限られた予算内で購買や製造といった業務ごとに様々なベンダーのパッケージソフトを導入して、システムを構築していたりします。工場の業務では、時には属人的であったり、表計算ソフト(Excel等)で独自にデータ管理を行ったりしていることがよく見受けられます。このように、各工場ではそれぞれが部分的に最適化された生産管理業務を作り上げて来たことになります。

生産現場から見た場合、高い生産性を保てており、さらにトラブルもなく、安定して生産業務がこなせるので、大きな問題がないように思われます。

しかし、経営者の目線で言えば、前述の問題が発生することになってしまいました。これは、工場の自立性を尊重した結果や、経営層・本社システム部門が生産管理の精度が異なることに対して無頓着であった結果かも知れません。

生産管理の精度のばらつきを無くす為の解決策

生産ライン

このように、工場によって生産管理の精度にばらつきがあり、そのために様々な問題が生み出されていることが分かりました。それでは、この「生産管理の精度のばらつき」を無くすために何をすれば良いのでしょうか? まずは、全社共通で求める生産管理の精度を決める必要があります。

例えば、

  • 在庫であれば、製造品のロット別の在庫が、棚番別にタイムリーに把握できる
  • 製造実績であれば、製造品の作業者実績が工程別に日次で確認できる

などです。

次に、求める生産管理の精度を得られるように業務の流れを標準化します。

例えば、

  • 在庫であれば、在庫を棚から出し入れする毎にシステムに移動実績を入力するプロセスにする
  • 製造実績であれば、作業者が当日の作業終了後に、製造した品目の作業実績を工程毎に記入するプロセスにする

というような事が考えられます。このように、業務プロセスを標準化し、統一された流れで業務を行うことで、生産管理の精度が統一されます。しかし、この運用を現場に任せていては、これまでと同じ結果になってしまいます。この為、標準化した業務プロセスに対応する生産管理システムを全社で利用するなど、標準化した業務プロセスを現場に守ってもらうための対応を行う必要があります。

生産管理の精度が統一されることでのメリット

業務プロセスを標準化し、生産管理の精度を統一することによるメリットは、冒頭で述べた『各工場の計画や実績の状況を、統一された管理精度で把握できない。』、『必要なデータをすぐに利用できず、事業戦略など経営への活用が遅れる。』という問題を解決できるという事になりますが、その解決ポイントは

  • 経営分析するためのデータが蓄積される

という1点に集約されるのではないかと思います。

例えば、製造原価のデータ精度が統一されることで、どこに無駄があるのかの把握が可能となり、原価改善に取り組めるようになります。その他には、歩留まりデータを活用して生産性の向上を目指す、検査データを活用して品質の向上を目指す、というような様々な分析からの改善を推し進める事ができるようになると考えられます。

生産管理の精度を統一させるために、各工場の部分最適を全社の全体最適に移行する過程では、各工場では一時的に生産性や品質、原価などの悪化が見られる可能性があります。しかし、生産管理の精度が統一され、データが蓄積されれば、これまでは各工場任せだった様々な改善を全社的に実施することができるようになります。また、実施根拠は経験や勘ではなく、実データによる統計・分析の結果であるため、これまでよりも大きな効果が期待できます。

まとめ

これまで見てきたとおり、工場毎に生産管理の精度にばらつきがあっては、同じ精度の情報は取得できません。同じ精度の情報を全社で統合して取得できなければ、市場環境の状況変化に応じて最適な生産管理を行うことは難しいでしょう。生産管理の精度のばらつきを無くすには、全社で標準化された生産管理の業務プロセスを規定し、運用することが必要になります。そのために、標準化された業務プロセスに対応した生産管理システムの導入をご検討されてみてはいかがでしょうか。

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