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DXに欠かせない「データドリブン」についてとその活用方法

「DX」という言葉がよく使われるようになってきました。

「DX」とは、「企業がテクノロジーを利用し、事業の業績や対象範囲を根底から変化させる取り組み」のことですが、企業からは「具体的にどのように変化させればいいのかがいまいちわからない」という声が多く挙がっています。

「DX」の取り組みの一つとして、「データドリブン」というものがあります。

今回はその「データドリブン」についてや、そのメリット、実行手順などをお伝えいたします。

データドリブンとは

データドリブン(Data Driven)とは、日本語では「データ駆動」と訳されます。データ駆動とは、「収集した実際のデータを分析し、その結果に基づいて意思決定をすること」です。

データドリブンを実施する際は、膨大なビッグデータを収集・分析し、経営者による意思決定や施策立案、マーケティング施策、課題解決などに役立てるのが一般的です。

DX(デジタルトランスフォーメーション*)推進が謳われているなかで、「データドリブン」はかなり役に立ちます。

*DX(デジタルトランスフォーメーション)については「DX?デジタライゼーション?あなたの企業に必要なのは」をご覧ください。

なぜDXにデータドリブンは必要なのか

ではなぜDXに「データドリブン」が必要とされているのでしょうか。

「データドリブン」が注目されるようになったきっかけとして、日本政府が指摘する「2025年の崖*」問題があります。

まずは「2025年の崖」問題に関してお伝えいたします。

経済産業省は「2025年の崖」問題に関して具体的に以下のような課題を挙げています。

  • 既存システムが、事業部門ごとに構築されて、全社横断的なデータ活用ができなかったり、過剰なカスタマイズがなされているなどにより、複雑化・ブラックボックス化
  • 経営者がDXを望んでも、データ活用のために上記のような既存システムの問題を解決し、そのためには業務自体の見直しも求められる中、現場サイドの抵抗も大きく、いかにこれを実行するか

これらの課題を克服できない場合、2025年以降、最大12兆円/年(2022年現在の約3倍)の経済損失が生じる可能性があると言われています。これが「2025年の崖」問題です。

この問題を乗り越えるためには、各企業がDXに取り組む必要があります。

そこで、DXの第一歩として「まずは既に社内にあるデータの基盤をしっかりと整え、根拠のある判断・行動をしましょう」と注目されたのが「データドリブン」だったという訳です。

*出展:経済産業省より

データドリブンを活用するメリット

経験や勘だけではない適切な判断ができる

かつての経営分析は、「KKD」と呼ばれる「勘」「経験」「度胸」に頼るアナログ的な考えを元に行われていました。

データドリブンでは、データによる根拠、つまり属人的でない事実に基づいた分析をするため、特定の人の考えに依存することなく、客観的に効果的なマーケティング施策を発見し、継続することができます。

顧客のニーズ変化を正しく把握し素早く対応できる

データドリブンを活用することで、かなり細分化された精度の高い顧客ニーズを瞬間的に把握することができるので、リアルタイムで市場を正しく把握し、その時その時の顧客ニーズに合った経営ができるようになります。

データドリブンの成功事例

USJ(合同会社ユー・エス・ジェイ)

「USJ」という愛称で親しまれている「ユニバーサルスタジオジャパン」の運営会社である「合同会社ユー・エス・ジェイ」は、「データドリブン」を活用したマーケティングを行っています。

データドリブン活用以前と以降で具体的にどのように変化したのかを見ていきましょう。

before

かつてのUSJでの顧客情報収集は、お土産や入場券、院亜植物の購入時に行われる従業員任せの曖昧な登録がほとんどで「匿名的な」顧客情報しか採れませんでした。

顧客の行動がオフラインであるがゆえに、きめの細かい顧客情報を集めることができていませんでした。

また、顧客の属性把握も、全量採取するのではなく、ランダムに選んだ顧客からアンケートを取るなど、オフラインでのランダムな情報収集に頼っていました。

しかし、当時の担当者は、現状維持することはできたとしても、長期的な改善を見込むことができないと考え、より正確な顧客分析ができる「データドリブン」の活用に力を入れ始めました。

after

「データドリブン」を始めるにあたり、「Web予約システムを改善し、入場券をなるべくオンラインで購入させるようにした」「園内にセンサーやGPSなどを設置し、リアルタイムな顧客の行動を採取できるようにした」などの改善を行いました。

顧客をオンライン上で行動させ、さらに、リアルタイムな顧客の行動にまで目を向けることで、オフラインでは不可能だった、きめの細かい情報収集(どのような層が、どのような人数構成で、どのようにパーク内を移動しているかなど)が可能になりました。

そこからパーク内での各顧客層ごとの行動が見えてくるようになったので、ショップでは、「朝にはカチューシャなどの身に着けるものを、夕方以降にはお菓子やぬいぐるみなどのお土産をオススメしよう」などの改善を施すことができたそうです。

カップヌードル(日清食品株式会社)

「カップヌードル」や「チキンラーメン」でおなじみの「日清食品株式会社」でも「データドリブン」が活用されています。

データドリブン活用以前と以降で具体的にどのように変化したのかを見ていきましょう。

before

かつてのカップヌードルは「若者向け」というイメージが強くシニア層への売れ行きが良くありませんでした。販売担当者は、シニア層に売れない理由は「健康に良くないというイメージがあるから」だと考え、シニア層向けに「健康志向なカップヌードル」を発売するも上手くいきませんでした。

そこで、担当者は、SNSでのシニア層の投稿を分析してみることにしました。

after

シニア層がSNSに投稿する写真の傾向として、「健康志向な食事」ではなく「豪華な食事」が多いことがわかりました。

そこから、「カップヌードル リッチ」という商品名で、「ふかひれ」や「すっぽん」といったような豪華な食材を使用したものを販売し始めました。

「若者向け」というイメージでシニア層から敬遠されていた商品が、シニア層にも大ヒットする商品となったのです。

データドリブンに活用できるツール

次にデータドリブンを行うにあたり、活用できるツールを6つご紹介いたします。

①Web解析ツール

1つ目はWeb解析ツールです。

Web解析ツールは、Webサイトのユーザーの流入から離脱までの行動履歴の分析や、Webサイト訪問者の属性、自社のサイトの宣伝や広告などを分析できます。

Web解析ツールを用いて、コーポレートページや事業紹介ページ、商品紹介ページなどを見直すことで周知・集客の向上が期待できます。

*Web解析についてはこちらの記事をご覧ください。

②MA

2つ目は、MAです。

MAは「Marketing Automation」の略で、マーケティング活動の自動化を実現させるツールです。

デジタルメディアと言われるような「SNS・メール・Webサイト」などの宣伝・広告の発信や、確度・優先度の高い顧客が自動でリスト化されるので、営業部門での効果が期待できます。

*MAについてはこちらの記事をご覧ください。

③BI

3つ目はBIです。

BI*は「Business Intelligence」の略で、過去に蓄積したデータから売上シミュレーションや経営管理などの機能が搭載されているツールです。

営業分析や経営分析をはじめ、顧客分析や社内向けデータの分析などもできるので、様々な部門での活躍が期待できます。

*BIについてはこちらの記事をご覧ください。

④DMP

4つ目はDMPです。

DMP*は「Data Management Platform」の略で、インターネット上に蓄積された様々な情報データを管理するためのプラットフォームのことです。

自社で取得した問い合わせデータや、外部ツールを用いて取得した自社Webサイト内での行動履歴など、さまざまな情報でセグメントすることができます。

*DMPについてはこちらの記事をご覧ください。

⑤CRM

5つ目はCRMです。

CRM*は「Customer Relationship Management」の略で、顧客との関係性やコミュニケーションを管理し、自社と顧客との関係を一元管理できるようにするツールのことです。

顧客の氏名や住所、電話番号などの基本情報から、メールや電話などのコミュニケーション履歴などを管理しておくことで、的確なターゲティングや営業活動の効率化が実現できるようになります。

*CRMについてはこちらの記事をご覧ください。

⑥SFA

6つ目はSFAです。

SFA*は「Sales Force Automation」の略で、営業担当が登録した「商談を開始してから受注に至るまでの進捗状況」を一元管理し、ひと目で確認ができるツールのことです。

営業活動を記録し可視化しておくことで、いつでも誰でも見返すことができるので、営業活動の現状分析や見直しが容易にできます。

*SFAについてはこちらの記事をご覧ください。

データドリブンを行う手順

次は、実際にデータドリブンを行うときの手順を見てみましょう。

手順は、「①データ収集→②データの見える化→③データ分析→④施策立案・実行・改善」の4つです。
手順は4つのみですが、下記図のように、④の後にはまた①に戻り、②③④へとサイクルするイメージを持っていただけると良いかと思います。

次に、①から④を行う際の具体的な内容についてお伝えします。

①データ収集

まずは、全データを収集しましょう。

「顧客の購入履歴」や「リピート率」をはじめ、「Webサイト内での閲覧・離脱率」など、集められる情報は全て集めましょう。

この段階で収集データを精査し絞ってしまうと、この後の過程で「欲しい情報を削ってしまった」などの状況に陥ってしまうので、データを収集することだけに専念してください

この時、データをツールごとにまとめるのではなく、一箇所にまとめたり、類似しているデータは一元に管理するとより効率的に次の作業が行えるようになります。

②データの見える化

次は、データの可視化です。

①で収集したデータを先ほどご紹介した「BI」などのツールを通し、整理・統合し可視化できるようにしましょう。

数値だけであったデータを、表やグラフにしておくことで、効率よくデータの整理ができるようになります。

③データ分析

次は、データ分析です。

企業によって立てている目標や目的は異なりますが、自社の目的に応じた結果を得るために、様々なデータをあらゆる視点から分析していきます。

様々なデータをあらゆる視点から分析することが難しい場合は、データアナリストやデータサイエンティストなどの専門家にお願いするのも一つかもしれません。

弊社ISIでもデータ分析・Web解析などを行っておりますので、気軽にご相談ください。詳しくはこちらの弊社ソリューションページをご覧ください。

④施策立案・実行・改善

最後は、施策立案・実行・改善に向けての計画と意思決定です。

データ分析で得られた結果をもとに、自社の強みや課題、顧客ニーズ、市場動向、競合他社の状況など、あらゆる要素を加味しながらこれからに向けての最適な行動を考えていきます。

最終的な判断は人間が行うため、全てを自動化することはできませんが、収集から分析までのプロセスはツールを活用することで、自動化できるので、データに基づく判断を効率的に行えるようになります。

施策を立案後・実行した後には、再度データ収集・分析をし、施策が正しかったのかどうかを判断するようにしてください。
その施策が正しかったと判断できるなら継続、改善の余地があるとなった場合には、再度分析し、改善点とその解決策を出し、精度の高い施策を行うようにしてください。

「データドリブン」について、データに基づく事実から分析・判断を行っていくことで、客観的で正しい経営判断ができるようになるとお伝えいたしました。

自社の目的に合ったツールを選定し、様々な角度からデータを収集・分析するようにしてください。

また、分析結果から立てた施策などに関して、「施策を立てたから大丈夫」と安心するのではなく、その施策を実行した上でのデータを再度収集・分析し、改善していくなどサイクルを回すよう心がけてください。

「データドリブン」を正しく行い、自社経営をより良いものにしていきましょう!