"IoT"
最近、この言葉をテレビやネットでよく見かけます。皆さんのほとんどがこの言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。
実は、「IoT」という言葉、1999年ごろには存在していたと言われています。
スマートフォンやタブレットが普及し、IoTが私たちの生活に深く関わるようになってきています。
IoTと聞くと、冷蔵庫や電子レンジなどのスマート家電を思い浮かべる方が多いかと思いますが、実はビジネスにも少しずつ広がってきているのをご存知ですか?特に、製造業界では、設備チェックや作業者管理の分野で、IoTを活用する企業が増えてきています。
国内IoT市場におけるユーザー支出額は、2022年実績で5兆8177億円でした。
その後2027年までの間、年間平均成長率8.5%で成長し、2027年には8兆7461億円になると予測されています。
そこで今回は、今後もどんどん成長していくであろうIoT技術について、
- IoTの活用でビジネスでどんなことができるのか?
- IoTを活用することで、ビジネスにどんな成果が出るのか?
などを、実際にIoTを導入した企業の事例をもとに徹底分析していきます!
そもそも”IoT”って何?
まずはじめに、"IoT"とは何なのかに触れておきましょう。
"IoT"は"Internet of Things"の略で、日本語では「モノのインターネット」ということもあります。
IoTは具体的にいうと、以下のようなものがあります。
- センサーでモノから情報を取得する(センシング)
- 取得した情報を、インターネット経由でクラウド上に蓄積する
- クラウドに蓄積したデータを分析する。必要であれば、AI(人工知能)を使用
- 分析結果に応じて、モノがアクチュエートする(ヒトにフィードバック)
持ち主が意識しなくても、最適なタイミングで最適な体験が得られるという点が、IoTの最大の魅力となっています。
冒頭でも触れましたが、IoTの身近なものとしてはスマート家電があります。2012年ごろから、各メーカーが様々なIoT製品を販売しています。外出先からスマホでエアコンの操作ができたり、録画した番組をスマホで見れたりと、とても便利ですよね。
私たちの生活で当たり前になりつつある"IoT"ですが、実証段階のものも含めて、ビジネスにもどんどん広がってきています。
IoTでこんなことができる!!
IoTを使ってビジネスでどんなことができるのでしょうか。
実際の活用事例を見ていきましょう!
IoTで作業員の健康管理
モノづくりにおいて、切っても切り離せないのが物流です。
近年、工場の機械化は進んできていますが、物流は人が重要な役割を担っている部分がまだまだ多いです。深刻な人材不足と高齢化、また過剰サービスによる労働環境の悪化など、物流業界は様々な問題に直面しています。
そこで、NTT東日本は2018年3月から、マイクロソフトと連携し、新たなIoTサービスの実証実験を開始しました。
サービスの仕組みは以下のとおりです。
- 作業従事者は、腕時計型のウェアラブルデバイスを着用
- ウェアラブルデバイスから心拍数などのバイタルデータや位置情報を取得
- Microsoft Azure上でデータの蓄積、解析を実施
①~③で得られた情報を元に、作業従事者の健康管理を行います。体調不良を検知した場合には管理者に通知することも可能です。
IoTで作業員の作業効率UP
前述した実証実験では、ビーコンを活用した作業従事者の位置把握も行われています。
ウェアラブルデバイスとビーコンを活用し、作業従事者が危険区域などに立ち入ったことを検知すると、警告通知します。
物流では、冷凍庫内など累積作業時間管理が必要な環境でも作業も発生するので、そのような環境下においては、前述のバイタルデータと組みわせることで、危険の兆候を捉えて、作業従事者・管理者に対してアラーム通知を行います。
また、作業従事者の位置把握は、熟練作業従事者の無駄のない動きの可視化にもつながり、他の作業従事者の作業効率の改善や、新人教育に役立てることも可能です。
"たった1年でライン停止時間25%削減"を実現
IoTの最大のメリットは、データの見える化が可能になるという点です。
今まで見えていなかったデータを可視化することで、業務の課題を見つけて業務改善を行ったり、顧客のニーズをいち早くキャッチすることが可能になります。
IoTの活用によって、大幅な効率化の成果を出した企業があります。
富士通グループで企業ネットワーク向けの製品製造とサービスソリューションを提供する富士通アイ・ネットワークシステムズ(以下FINET、本社:山梨県南アルプス市)です。
FINETは、富士通グループの社内実践として、FINET山梨工場のプリント配線基板(PCB)実装ラインをIoT化しました。
1年間の実証実験を行い、以前から問題視されていたライン停止の原因をデータ化して、その中で見つかった問題を解決することで、ラインの停止時間を25%削減することに成功しています。他にも、業務の中で多くの時間を費やしている作業を把握することができ、生産性20%向上も達成しています。
現在、同社は「設備停止の予防」を目標に、停止の前兆を判断するための知見の蓄積に取り組んでいます。
データを見える化し、そのデータを分析・活用することにより、生産の最適化だけでなく、将来の工場完全自動化への道筋を付けることも期待できるのではないでしょうか。
データの見える化に関しては、データの統合とBIツールの活用がおすすめです。
データ統合については、こちらの「自動でデータ統合が可能!?「ETL」ってなに?」をご覧ください。
BIについては、こちらの「データの可視化で意思決定をサポート! 「BI」についてとそのメリット」をご覧ください。
まとめ
日常生活で身近なものになったIoTは、ビジネスにも広がってきています。
まだまだ実証段階のものや商品化されたばかりのものが多いですが、2020年には5G(第5世代移動通信システム)の商用化が見込まれており、通信速度の向上に伴って更なるIoTの活用が期待できるのではないでしょうか。
IoTをうまく活用することでビジネスは劇的に変化します。
ぜひ、ビジネスでのIoT活用を考えてみてください!