2024年問題とも言われる、消費行動の変化による物量の増加や倉庫内や配送担当者の働き方改革など、運輸・流通業界が取り組むべき課題はたくさんあります。
物流管理を効率化したい、コストを下げたい、属人的作業から脱却したいがなにをどう変えればよいのかわからない方にぜひ知っていただきたい物流向けITシステムに「TMS」があります。
今回は、物流業界で活躍する「TMS」についてご紹介いたします。
1. TMSとは
TMSとは、「Transport Management System(トランスポート・マネジメント・システム)」の頭文字を取ったもので、「輸配送管理システム」を意味します。
物流に欠かせないシステムの中の1つで、ものが出荷されてから届くまでの流れをリアルタイムで管理するためのシステムです。
2. WMSとの違い
TMSと一文字違いかつ、こちらも物流関係で使われる言葉に「WMS」があります。
2つの言葉にはどのような違いがあるのでしょうか?
WMSとは、「Warehouse Mangement System(ウェアハウス・マネジメント・システム)」の頭文字をとったもので、「倉庫管理システム」を意味します。
WMSは入出荷する荷物の管理や、リアルタイムな在庫状況の管理、さらには帳票や請求書、棚卸報告書の発行といった倉庫内業務の効率化を対象としています。
一方、TMSはトラックの配車を中心に輸配送の進捗管理など輸送プロセスの効率化を目的とするシステムです。
TMSとWMSを連動させることで、ものの入荷から配達までの流れを効率的に管理できます。
WMSについてはこちらの「もう倉庫内業務を手作業でしない! 物流に欠かせないWMSとは」をご覧ください。
3. TMSの主な5つの機能
配車管理機能
まず1つ目は「配車管理機能」です。
配車管理機能は、車両に配送予定の荷物を割り当てたり、条件に合う適切な配送ルートを作成することができます。
ただ単に割当・作成するわけではなく、荷物の大きさや冷蔵/冷凍、リアルタイムな交通状況が考慮された最適な配車・配送を作成してくれます。
貨物追跡機能
2つ目は「貨物追跡機能」です。
貨物追跡機能では、荷物や車両の現在位置リアルタイムに追跡することができます。
配送中の荷物に対して、顧客から問い合わせが来た際にも、この追跡機能ですぐに状況を確認し返答することができます。
荷物だけではなく、車両やドライバーの状況もリアルタイムに把握できるため、事故やトラブル時にも迅速に指示を出すことができます。
運転日報作成機能
3つ目は「運転日報作成機能」です。
配送に携わるドライバーは、1日の終りに運転日報を書かなければなりません。
この機能では、各車両の走行データなどからドライバーそれぞれの日報を自動で作成することができるため、ドライバーの業務負担が軽減されます。
運賃計算機能
4つ目は「運賃計算機能」です。
運賃計算機能では、冷蔵車・冷凍車といった特殊車両割増や休日割増、深夜・早朝割増などの割増運賃も考慮し、配送拠点から届け先までの運賃を正確に計算することができます。
バース予約機能
最後5つ目は「バース予約機能」です。
工場や倉庫にある配送する荷物の積み下ろしを行う「バース」では混雑によるトラックの待ち時間発生が問題となっています。
バース予約機能を活用することで、バースの混雑が緩和され、工場や倉庫でのトラックの待ち時間が減少します。
積み下ろしの効率化により、ドライバーの長時間労働の改善にもつながります。
4. TMSのメリット
物流コスト削減
配車を自動的に最適化することで、車両の数を最小にすることができ、ドライバーの人件費を削減することができます。
また、自動で配送ルートも最適化してくれるため、燃料費や運賃についても必要最低限でやりくりすることが可能になります。
さらに、システムで物流コストを見える化することにより、改善可能な部分が見えてきます。
属人化防止
物流業界では、いわゆるKKDと呼ばれる「勘・経験・度胸」で業務をこなすベテランが多く、属人化しやすいと言われています。
そのベテランが引退したり働けなくなると、業務が止まってしまいます。
TMSを導入することで、一部の社員に依存してしまっていた業務がシステム化され、経験が浅い社員でも精度の高い配車・配送計画が作成できます。
配送品質向上
配送管理機ので荷物や車両の位置をリアルタイムで追跡できるため、ドライバーのしっかりと配送しようという意識が高まります。
また、顧客から荷物の到着日時についての問い合わせが来た場合にも、配送管理システムで位置情報を確認して、すぐに回答が可能になります。
さらに、顧客はインターネットを通して荷物の現在位置を直接確認できることから、顧客満足度も高めることができます。
5. TMS選定時のポイント
導入形態の確認
TMSには、インターネット経由でアクセスできるクラウド型と、自社のサーバー設備が必要なオンプレミス型があります。
クラウド型であれば、配送管理をスマートフォンやタブレットなどのモバイル端末で行うことができたり、自社サーバーなどの設備投資を抑えることができます。
オンプレミス型にも、自社の業務環境に合わせた独自のシステムを構築できるというメリットがあるので、それぞれのメリット・デメリットを比較、検討し自社にあった形態を選ぶようにしましょう。
欲しい機能の確認
トラックの空き状況や荷物の届け先情報を一元管理できたり、見たい情報の絞り込みや並べ替えができるかなど、TMSに自社が求める機能が搭載されているかを確認しましょう。
欲しい機能の確認
他システムとの連携確認
ドラレコやWMS、バース予約システム、請求システムなどの周辺システムと連携しやすいかも重要な選定ポイントです。
他システムと連携することで、倉庫作業から配送まで一気に管理することができたり、二重管理を改善できます。
サポート確認
IT化が進められてるとはいえ、物流業界はまだまだKKDで業務をこなすベテランが多いのが現状です。
TMSを導入しても使いこなせなければ意味がありません。
導入後に分からないことがあったり、運用でつまずいた際に問い合わせができるサポートのついたシステムを選ぶと良いでしょう。
自社の課題確認
TMSは製品によって、さまざまな機能が搭載されているシステムもあれば、最低限の機能しか用意されていないシステムもあります。
自社の物流課題を洗い出し、必要な機能が十分備わったシステムを選ぶことが大切です。
予算が限られている場合には解決したい課題に優先順位を付けて、重要度が高い課題の解決につながるシステムを選びましょう。
さいごに
今回は物流業界に欠かせないシステムの1つである「TMS」についてご紹介いたしました。
「TMS」は、配車管理や荷物追跡、日報作成などをリアルタイムに自動化することができます。
TMSを導入し、「属人的でKKDな業務形態」から「システム化された効率的な業務」へと変えませんか?
原材料の調達から消費者の手に届くまでの「調達・生産・販売・回収」プロセスを一元管理する「スマートロジスティクス」という管理方法があります。
物流だけでなく、ロジスティクス全体、調達から生産・物流・販売までをボーダレスに最適管理することを目指すなら、ぜひこの「物流×IT!スマートロジスティクスとは」をご覧ください。
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