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こんにちは。経営基幹システム(ERP)などの業務系ソリューションを中心に、企画設計やエンジニアリング、導入支援を行っている土田です。
今回は、常駐先の製造現場でよく話題に上がる「生産計画」と「リードタイム」の関係性について、わかりやすくご紹介するとともに、生産計画を支える4つのリードタイムの短縮法についてご紹介したいと思います。
リードタイムとは、製造業で収益に最も大きな影響を与えると言われる「生産計画」に必要なオペレーション指標であり、具体的には、「製造」から最終製品の「納品(お客さまのもとへのデリバリー)」までの、全てに掛かる総合的な期間を言います。
より専門的に調べてみると、リードタイムは4つに分けられます。
計画・立案をするために必要な期間の合計
購入品目(材料または部品など)を調達するために必要な期間の合計
製造に着手してから、完了するまでの必要な期間の合計
生産品目を納品するために必要な期間の合計
これら4つのリードタイムの総合日数が、一般的なリードタイムと言われています。
「製造」から「納品」を分解してまで、リードタイムを分析する理由は、滞留在庫、生産性(不良品発生率)、業務効率を見直す必要があるためです。リードタイムの本質は「市場への対応力」にあります。リードタイムを短くできれば、短期間での見直しができ、その分、即座に社会の動向に対応できます。
これら、それぞれのリードタイムのイメージについて、製造現場の事例を通して解説していくとともに、それらが適切に管理されずに前後した場合には、経営情報(収益、販売計画、在庫管理等)としてはどのような影響が出るのかについてご紹介していきましょう。
製造に正味3日掛かる製品があるとします。製造するなら最低でも、納期の3日前に部品を準備する必要があります。しかし、機材の不備、発注の不手際が発生するかもしれません。もし、そうなってしまえば確実に納期には間に合いません。例えば、不祥事に十分対応できるよう納期の10日前に部品を準備すれば、十分対応可能であるとします。この「10日間」(十分に対応可能な余裕を持った期間)を「標準リードタイム」と呼びます。
では、納品するまでに、製造工程が3つあったらどうなるでしょうか?
材料から製品を作るまでに1ヶ月(10日×3工程=30日)かかってしまいます。実際の作業時間は9日(3日×3工程)しかありません。「21日間」は「待ち」です。さらにその期間、在庫を抱え続けることになります。
製造において、この標準リードタイムの「21日間」を短縮することがとても重要なポイントになります。
こちらは、最初に考えうる方法の一つです。もっとも容易にで、製品に対する作業時間は短縮されます。ただし、費用を考えるとあまり効果的ではなく、良い方法だとは言い難いです。また作業場所も必要となり、ネックとなる課題が出てきてしまいます。
こちらは、緊急事態に即座に対応したいときの手段として取ってきておきたいところです。
こちらも、最初に考えうる方法の一つです。同じ製品だけを繰り返し製造しているのであれば効果があります。しかし、こちらも増員と同様費用が掛かります。また、一つの機械で複数の製品を扱う場合、切り替え時間や、保管、配送方法を整理しないとかえって無駄な時間を増やすことになるため、注意が必要です。
ロットサイズを小さくすれば、その分ロットの待ち時間は短くなり、次の工程に素早く移行できます。ただし、作業工程の切り替え回数が増えるため、工程間の作業時間に時間が掛かると、かえって無駄な時間を浪費してしまいます。ロットサイズの変更は、工程間の作業時間を吟味する必要があります。
作業時間短縮を妨げるのが、不良の発生です。それまで掛けていた作業時間が、無駄になってしまいます。作業する上で、不良品は完全に抑えるのは難しいかもしれません。しかし、検査ポイントを要点に決めることで、できるだけ不良品に掛かる時間を削ることはできます。
各製造品の部品を共通化できれば、各製造数に対して、それに合った部品をいくつ作るかを算出する時間が無くなり、切り替え時間、在庫管理も容易となります。 部品の共通化は、なかなかすぐにはできませんが、これができれば、大きな効果を生むことは、間違いないでしょう。
倉庫の管理を適切に行うことです。在庫を探す時間が掛かれば掛かるほど、その分リードタイムは伸びます。まずは、どこに何がいくつあるのか適切に把握することが大切です。 また、入庫、出庫の入口を変えるなど、作業工程が円滑に進むような工夫も大切になります。
リードタイム短縮に効果の高い方策を以下にまとめます。
多くは生産技術、設計技術向上に直結する内容です。リードタイムを短縮することで、今ある「生産計画」をより向上させるだけでなく、先の予想が困難な今日に対して、柔軟に対応することができます。そのため、リードタイムは、技術力、生産性を高めるうえでも考えなくてはならない課題となります。