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ゲートを通るだけで支払い完了?次世代の買い物形態「OMO」とは

  • IT用語解説

いまや、店舗でものを購入する際に「iD」や「QUICPay」などの電子決算や、「○○Pay」などのQRコード決算を使うことが当たり前になってきました。

日本でのキャッシュレス決済は他の先進国に比べ遅れているのが現状ですが、これからどんどん普及していくと言われています。

店舗というオフラインの環境でキャッシュレス決済を活用するといった、「オンラインとオフラインを融合」させた次世代のサービス「OMO」についてご紹介します。

OMOとは、「Online Merges with Offline」という英語の略で、シノベーション・ベンチャーズという企業のCEOである李開復が提唱したと言われています。日本語では一般的に「オンラインとオフラインの融合」と訳されます。

コンビニエンスストアで買い物するときは支払いをスマホで行ったり、店舗で見かけた商品をネットで購入したりといった、オンラインとオフラインの区別がなく、両方が包含された新しい状態が「OMO」です。

OMOとO2Oについて、語呂も似ているし、どちらもonlineとofflineという単語が入っているし、意味がほとんど同じじゃないのかと思われるかもしれません。

O2Oというのは、「Online to Offline」の略で、オンラインからの働きかけで店舗(オフライン)での購入を促すように働きかける施策のことです。

O2Oの例としては以下があります。

  • メールやLINEを活用し、店舗で使える割引やポイントクーポンをユーザーに配信し、実店舗へお客様を誘導
  • メールマガジンなどでファンを確立させ、実際に店舗に足を運んでもらう

O2Oは「企業目線」であくまで「オフラインに誘導するため」の施策なのに対し、OMOは「顧客目線」での施策という違いがあります。

3. OMOとオムニチャネルの違い

オムニチャネルもオンラインで何か施策を行うイメージがあるかと思います。

「オムニ」はラテン語で「すべての」という意味から、オムニチャネルは、企業とユーザーの接点となるあらゆるチャネルを通して顧客をを増やそうとする施策のことです。

オムニチャネルの例としては以下などがあります。

  • 洋服を買いに行ったときに、店舗に在庫がない場合ECから購入できる
  • 電話で顧客にこういうサービスいかがですかと声をかけ顧客を獲得する

オムニチャネルは、WebサイトやSNS、ECなどオンライン上で行う施策はもちろんですが、コールセンターの活用や実店舗でクーポンを配布するなど、オフラインのみで行う施策も含まれます。

オムニチャネルは、一つひとつのチャネルに関してオフライン・オンラインという明確な区別が存在するのに対し、OMOはオンラインとオフラインの融合であるため、施策ごとにオンライン・オフラインと区別できないという違いがあります。

4. OMOの導入事例

中国の「7fresh」

中国の「7fresh」というスーパーマーケットでは、カートのQRコードを読み取ると買い物中にカートが顧客について回ってくれるスマートショッピングカートを導入しています。

また、購買履歴からパーソナライズされたおすすめ商品の案内や購入した商品に合うようなレシピの提案から、ゲートを通るだけで会計ができる仕組みなど顧客目線でも嬉しい取り組みを行っています。

中国の「盒馬鮮生(HEMA)」

中国の「盒馬鮮生」というスーパーマーケットでは、スマホで商品棚のバーコードをスキャンすると、商品情報が出てくるのはもちろん、「トレーサビリティ」と言われる、商品の産地や政府の許認可証書や生産地・生産者、市政府などが発行している産地証明書など、様々な情報が出てきます。

商品に透明性が出るので、安心安全な商品選びをすることができます。

日本の「スーパーセンタートライアル長沼店」

トライアルカンパニーが、2020年にスーパーセンタートライアル長沼店として、スマートストアをオープンしました。

中国とは違い、プリペイドカードの作成の必要があったり、カートは自動でついてこなかったりと中国でのOMOへの取り組みには及びません。

しかし、商品をカートにスキャンするだけでクーポンが自動で適用されたり、売り場でスキャンした商品情報または現在位置の近くにある商品情報に合わせたレシピ提案してくれたりと、こちらも顧客目線で嬉しい施策を行っています。

日本の「TOUCH-AND-GO COFFEE」

サントリーが東京・日本橋で手掛けるコーヒーショップ「TOUCH-AND-GO COFFEE」では、自分の好みに合わせてカスタマイズしたサントリー「BOSS」ブランドのボトルコーヒーをLINEで事前に注文しておき、指定した時間に受け取り用のロッカーに取りに行くというサービスが行われています。

支払いは事前にクレジットカードまたはLINE Payで行うため、並ぶことなく商品を受け取ることができます。

レジいらずで注文も事前にわかるため、企業目線では、人員の削減と食品や飲料の廃棄削減が見込めます。

顧客目線では、並ばずに受け取れることや、味やラベルのカスタマイズを事前にすることが可能なので、好みのものをストレスフリーに注文することができます。

5. OMO導入のメリット

顧客満足度の向上

OMO自体がまず、「顧客目線」での取り組みなので、顧客満足度向上が見込めるのは当たり前と思われるかも知れないですが、どういった風に顧客満足度の向上が見込めるのか具体的にお伝えします。

先ほどの章でも述べましたが、あらかじめ購入商品を自分好みにオンラインでカスタマイズすることができるという点から、店頭のレジで注文する際の焦りや後ろからのプレッシャーを感じることなく注文することができます。

また、会計もクレジットカードなどオンライン上で決算するため、会計のためのレジの順番待ちがないため、ストレスフリーに購入を完了することができます。

データ一元化による売上アップ

企業は顧客データをオンライン上で一元化することで、高精度な分析を行うことが可能になります。

分析によって顧客のニーズが明確になることで、商品やサービスを適切な顧客に届ける施策も考えやすくなります。その結果、顧客に接する機会が増え、売上の向上を見込むことができます。

さいごに

事例とは別に、「マクドナルド」や「スターバックス」でのモバイルオーダーや、「Nike」や「Zoff」、「Amazon」などでも徐々にOMOの取り組みが行われています。

カフェや飲食店、スーパーマーケットでの展開が多いのが現状ですが、アパレルやメーカーなどでもOMOへの取り組みが広まっています。

お店の新規オープンや立ち上げ、商品の周知方法などマーケティングに関するお悩みがあればいつでもご相談ください。