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BOMだけではだめ?製造業におけるPDMのメリットと活用方法

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製造業では、情報管理や業務フローを効率化するためのITシステムが多数存在しています。

その中でも、最近では、企業全体をDX化する包括的な製品が多いです。

今回は効率的な製品開発には欠かせない「PDM」についてご紹介いたします。

PDMとは

PDMとは、「Product Data Management(プロジェクト・データ・マネジメント)」の略で、日本語では「製品情報管理システム」を意味します。

PDMでは、製造業においてCADやBOMといった製品に関連する情報を一元的に管理することができるため、効率的な製品開発を実現させることができます。

たとえば、過去の製品で使った設計図をバージョンアップした製品でも参考にしたい時に、すぐに該当する設計図が見つからなければ、探す手間や時間がかかってしまい業務効率が下がってしまいます。

また、同じ製品についてのデータにおいて、部署ごとに別の管理番号が振られていたり、部署ごとに更新されバージョンがまちまちだったりと管理方法が統一されていないこともしばしばあるかと思います。

PDMでは、「一か所で」「重複や断片化されることなく」「最新バージョンで」管理することができ、業務の効率化につながります。

PDMシステムの主な5つの機能

データの一元管理機能

まずは、「データの一元管理」です。

製品に関連するあらゆるデータを一元管理します。

設計に必要となる設計図や部品表といったデータを、単独で管理するのではなくそれぞれを紐づけた管理が可能です。

進捗状況管理機能

2つ目は「進捗情報管理」です。

製品開発における現場の各工程の進捗状況を管理し、共有することができます。

進捗が可視化されるため、遅延が発生している箇所がすぐにわかります。

BOM管理機能

3つ目は「BOM管理」です。

製品構成表やBOMのバージョンや変更履歴を自動的に管理することができます。

正確性の向上や部品調達、製造の効率化などが実現されます。

データ検索機能

4つ目は「データ検索」です。

データを一元管理しているため、必要なデータは検索し簡単に探し出すことができます。

これにより、過去の設計データや部品データを活用した新製品開発、設計変更の効率化などが可能です。

セキュリティ機能

5つ目は「セキュリティ」です。

PDMでは、アクセス制限を行うことが可能です。

権限設定を行うことで、重要な図面が外部に漏れることや、承認前の図面が一社員によって改ざんされるなどを防ぐことができます。

PLMとの違い

PDMとよく似た意味を持つ言葉に「PLM」があります。

PLMとは、「Product Lifecycle Management(プロダクト・ライフサイクル・マネジメント)」の略で、製造業において「製品のライフサイクル全体を統合的に管理する方法」を意味します。

PDMとPLMの違いは、管理対象になるデータの範囲です。

PDMは、設計BOMやCADデータといった開発・設計工程における製品情報を一元管理するのに対し、PLMはライフサイクル全体のデータを管理します。

つまり、PLMで管理するデータの一部にPDMが扱うデータが含まれているイメージです。

PDMのメリット5選

データを一元管理できる

製品に関わるあらゆるデータを一元管理することで、情報共有の効率化や意思決定の迅速化、開発期間の短縮などが可能になります。

また情報の検索が容易になり、作業効率がアップします。

データの二次利用が容易になる

過去の設計データや部品データを活用した新製品開発や設計変更の効率化が実現できます。

データの二次利用を行うことで、新たに開発する場合と比較してコストや時間、手間を削減することができます。

品質管理を徹底できる

製品情報がワークフローなども含めて可視化されることで、品質管理を徹底し不良品の発生を減らすことができます。

またミスや承認の遅滞も全体で共有することができるため、問題の発生場所や具体的な解決策も明確になります。

バージョン管理が容易になる

製品のバージョン管理を容易に行うことができ、最新バージョンかどうかや変更履歴を把握しやすくなります。

工数管理や日程管理を効率化できる

製品開発における各工程の進捗状況を管理することで、工数管理や日程管理が効率化できます。

さいごに

今回は、PDMについて紹介いたしました。

PDMは、製品開発における開発期間の短縮、コスト削減、品質向上などには欠かせないツールです。

開発や企画に携わる業務の無駄をなくし、市場投入が迅速になることから顧客満足度を高まり、企業の競争力も高めることができます。

PDMシステムの導入を検討する場合は、まず自社の課題を洗い出し、整理し、導入の目的を明確にすることが重要です。

適切な形でPDMを取り入れ、効率的な製品開発を実現させましょう。