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データの一元管理で品質を維持 データ管理の基本「MDM」とは

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「商談や実績を登録する際、すべての情報を入力している」「経営分析を行いたいが、分析したい角度でデータを集約できない」などデータの集積・分析においてお困りな企業がたくさんあります。

今回はそんなデータの集積・分析において活躍する「MDM」についてご紹介いたします。

マスターデータ管理とは

MDM(Master Data Managemnt)と略すこともある「マスターデータ管理(以下、MDM)」とは、全社でマスターデータの観点を統合させ、データの一元管理を図り、データの品質を維持する取り組みのことを指します。

MDMによって企業内のデータに一貫性をもたせることができ、データの品質が保たれます。

マスターには、「顧客マスター」「商材マスター」「従業員マスター」など様々な種類があります。

MDMが必要な理由

たとえばマスターデータがない場合、商談を登録するとなると、顧客名・商材・確度などの情報を入力することになります。

数件であれば全て入力しても大丈夫ですが、数100件となると大変ですよね。

顧客マスターや商材マスターを用意していると、商談登録の際には「顧客名」や「商材名」を入力する必要はなく、マスターデータから選択するだけで入力が完了します。

また、「商材A(半角)と商材A(全角)」や「株式会社あいうえおと㈱あいうえお」のような表記ゆれもなくすことができます。

表記ゆれが起きてしまうと、同じデータでまとめるのが難しく、正しく集計できない可能性(データのサイロ化)があります。

入力ミスや表記ゆれが起きないようにするため、商材や顧客で売上をまとめた分析を行う(データのサイロ化を防ぐ)ために、MDMでデータ(マスタ)を一元管理することは重要です。

MDMのメリット

業務効率化と生産性の向上

バラバラに管理されている低品質なデータを、整合性ある品質の良いマスターデータに改善することで、各部署で蓄積されたデータを共有し迅速に活用することができます。

全社で言葉の整合性が取れるようになるため、部署間で起こりがちな誤解や認識の差異がなくなり、見直しや確認の時間と工数の削減にもなります。

データ統合による的確な分析

最近、便利なITツールが数多く存在しており、社内で複数の管理システムが混在しているケースが多くあります。

複数の管理システムが混在したままだと、正確なデータが集計できず的確な分析が難しくなります。

マスター管理を実施することで、各システムで管理しているデータを一つに統合し、一元化できます。

情報を一元化することにより、在庫や顧客リストなど、経営全体を可視化することができ、効率的な経営を実現できます。

MDMの進め方

MDMを進めていくためには、3つの段階を踏む必要があります。

この章では、その3つのステップを細かくご紹介していきます。

1.現状分析

まずは、MDMを行う目的を考えます。

「データがどこにあるか探すのに時間がかかる」「精度の良いデータ分析がしたい」など、MDMのゴールと進め方がブレないように、自社の現状課題を分析し目的を明確にしましょう。

2.社内データの収集・整理

データをマスター管理するためにはまず、今現状あるデータを集める必要があります。

「商材」「顧客」などどういった分類でマスターを作成するのかを考えながらデータを収集します。

データ収集時に中身を整理してしまうと必要なデータを切り捨ててしまうかもしれないので、一旦すべてのデータを集めるようにしましょう。

データが一通り集まれば、次はデータを整理します。

集めたデータの中には古いデータやすでに使えないデータがあるかと思います。

そういった不要なデータも統合してしまうと、統合したとしても信頼性の低いデータになる可能性があるので、不要なデータは整理します。

各データの粒度やフォーマット、コードを持たせるのであればコードの統一、命名規則も決めておきましょう。

3.運用方法の決定

抜け漏れのないマスターデータを作成・維持するために、運用方法を定義しておく必要があります。

せっかくマスターを作っても担当者全員の入力方法がバラバラであれば、すぐにマスターデータの役割が壊れてしまいます。

複数システムを連携するのであれば、データの入れる順番(業務手順)やマスターデータを使う際のルールなど運用方法を決めるようにしましょう。

今回は、MDM(マスターデータ管理)についてご紹介いたしました。

たとえば、社内間で取引先の名前が異なると、経営分析する際に混乱したり、毎回入力する必要があるため時間がかかってしまったりなど様々な問題が出てきます。

マスターデータがあると、取引先ごとに売上をまとめるのが容易になるため分析もしやすくなります。

また、1度マスターデータに登録したものに関しては、リストから選択できるようにすると毎回その項目を入力する必要がなくなるため、効率化にもつながります。

MDMは特にシステムを導入することなく実現することもできるので、目的と運用方法を明確にしておけば、どの企業でも取り組むことができます。

データの分析を本格化したい場合や、部署間で認識の差異が大きいと感じる場合はマスターデータ管理を視野に入れてみてはいかがでしょうか?