製造業や卸売業、小売業において、まだまだExcelなどを用いて手作業で情報を管理している企業が多いのが事実です。
また、同じ企業の中でも部門ごとで情報管理がばらばらであったり、連携が上手く取れていないことも多々あります。
業務上で必要となるデータを管理するためのシステムとして、「ERP」というものがあります。
今回は、そんな「ERP」についてのご紹介です。
ERPとは、「Enterprise Resource Planning(エンタープライズ・リソース・プランニング)」 の略で、日本語では、企業資源計画と訳されます。
よく基幹システムと混同されますが、基幹システムは、「生産管理」「販売管理」「在庫管理」など、それぞれが独立して使われている業務システムのことです。
ERPは、システムごとに独立しておらず、複数のシステムが統合され、データが一元管理されているのが特徴です。そのため、ERPは統合基幹システムとも呼ばれます。
ERPツールが日本で使われ始めたのは1992年からと言われています。
BPR*ブームがきっかけとなり、ERPが注目されるようになりました。
初めのころは、海外の業務形態に合ったERPツールがほとんどでしたが、次第に日本の業態に合ったERPツールがリリースされていきました。
2010年ごろまでは、オンプレミス型**のERPツールが主流となっており、大変コストのかかるハードルが高いシステムでしたが、現在では、クラウド型***のERPツールも登場し、低コストなシステム導入が可能となりました。
*BPRとは、「Business Process Re-engineering」の略で、既存の業務内容、業務フローなどを改革し、再構築(リエンジニアリング)することで業務効率や生産性を向上させるという手法のこと。
**オンプレミス型とは、システムの稼働やインフラの構築に必要となるサーバーやネットワーク機器、ソフトウェアなどを自社で保有し運用すること。
***クラウド型とは、ソフトウェアなどを持たずにインターネット経由でサービスを利用すること。 詳しくは、「働き方が変わる!?クラウド化について」の記事をご覧ください。
実際にERPを導入することで、どのような業務改善がされるのでしょうか。
まずは、製造業での業務改善*を見てみましょう。
製造業務でよく「納品進捗状況の管理が得意先任せになってしまっている」という悩みを耳にします。
ERPツールを活用することで、発注日や納品日、個数、金額の一括管理や確認が容易に行えるようになるので、取引先への信頼だけではなく、自社で正しくしっかりと納品管理することができます。
取引先任せで、不備や遅延に気づけない、また、不備や遅延を感じていたとしても自社で管理していないから取引先に言いだせないというような状況から抜け出すことができます。
次に、卸売業での業務改善**を見てみましょう。
卸売業務でよく「商品の売れ筋分析が大変だ」という悩みを耳にします。
ERPツールを活用することで、出荷数の多い商品や不動在庫などを簡単に把握することができるため、需要に応じた販売チャンスを逃さずに済みます。
また、自分たちで分析方法をカスタマイズすることで、取引先別やブランド別、アイテム別の管理をすることも可能になります。
*さらに製造業での業務改善を知りたい方は「お悩み別!製造業における販売管理システムのメリット」の記事をご覧ください。
**さらに卸売業での業務改善を知りたい方は「お悩み別!卸売業における販売管理システムのメリット」の記事をご覧ください。
次に、ERPを導入することにより得られるメリットについて2つお伝えいたします。
販売管理や会計管理、人事管理など部門や業務ごとで別々の情報を扱うのが当たり前なので、システム導入を検討するとなると、部門ごとの導入が必要になってきます。
ERPでは、部門ごとでばらばらに管理されている情報をまとめて管理できるので、データの加工や再入力などの手間を減らすことができます。
情報を一元管理しておくことで、欲しい情報をいつでも簡単に取り出すことができます。
ERPツールは情報の分析機能が搭載されているものが多く、売上や利益、生産コストなどがリアルタイムで反映されるので、経営での意思決定に役立ちます。
また、ERPをBI*ツールなどと共に活用することで、リアルタイムで取得してきたデータをグラフ化させることも可能です。
さらに情報を一元管理しておくことで、生産スケジュールや在庫状況なども全員が把握できるので、製品の発注が入った際に、各部署に状況を確認するといった手間も減らすことができます。
*BIについては「データの可視化で意思決定をサポート! 「BI」についてとそのメリット」の記事をご覧ください。
具体的にどのような視点でERP製品を見極めるべきでしょうか。ここで意識したいのは、以下の3つのポイントです。
ERPツールは大企業向けから中小企業向けまでさまざまな製品があり、想定した事業規模に合わせて作り込まれています。
たとえば海外のITベンダー製のERPツールは大企業での利用を想定した製品が多く、中堅・中小企業での利用となると、導入に膨大な費用と時間がかかったり、自社の業務に合わないといったケースが少なくありません。
そのため、そのERPツールがどの程度の企業規模を想定しているのかを見極める必要があります。
日本の商習慣に対応できるかどうかも大きなポイントです。
ビジネスのグローバル化が進む一方、業種によっては日本独自の商習慣が根強く残っており、それに対応できなければ追加費用を負担してカスタマイズする必要があります。
ERPツールは財務会計までカバーしているため、当然ながら日本の税制への対応などもチェックすべきポイントです。
自社の業務との整合性も重要です。
ERPツールが想定している業務プロセスと自社の業務の流れに食い違いがあれば、業務の遂行に大きな支障をもたらす可能性があるからです。
この際に参考になるのがERPツールの「導入事例」であり、自社の業態や企業規模に近い企業の導入事例は、ERPツールの選定時に参考になります。
ただERPツールは業務を統合的に管理することを目的としているため、ソフトウェアとしての規模は膨大で、外部に公開されている情報だけで判断することは困難です。
導入を検討しているのであれば、まずは資料を請求し、製品の概要や特長を理解するところから始めてみましょう。
かつてオンプレミス型が主流だったERPツールは、今やクラウド型が定着しつつあります。
クラウド型はオンプレミス型に比べ、安価で導入できるメリットがあります。
また、ERPをBIツールやRPAツールと組み合わせることで、データをグラフとして可視化してくれたり、データの入力業務を自動化してくれたりと、業務効率化につながります。
「DXを推進する必要がある」と言われている中で、みなさんも一度ERPツールの導入を検討、または見直しをされてみてはいかがでしょうか?
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