ビジネスの成長や競争力を高めるためには、膨大なデータをどのように活用するかがますます重要になっています。
BIは、データを収集・分析し、企業の意思決定をサポートする強力なツールとして、様々な企業で活用が進んでいます。
本記事では、BIの基礎から具体的なツール、成功事例、さらに戦略的な導入に関する考察まで、BIのあらゆる側面を深掘りし、効果的に活用するためのヒントを提供します。
BIについての基本的な情報から知りたい方は、こちらの「データの可視化で意思決定をサポート! 「BI」についてとそのメリット」を先にご覧ください。
BIとは「Business Inteligence(ビジネス・インテリジェンス)」の略で、企業が蓄積した膨大なデータを収集・分析・加工し、経営戦略のための意志決定を行うサポートをすることです。
BIは特定の手法やツール自体を指すのではなく、意思決定にデータを用いることを指します。
たとえば、データをグラフに起こすことや、データの統計分析などはいずれもBIの1つです。
BIには数多くの種類が存在します。
本章では、様々な種類があるBIから4つを厳選しご紹介いたします。
Microsoft Power BIとは、Microsoftが提供しているBIツールです。
Power BIには、企業内の膨大なデータから必要な情報を抽出し、グラフなどの見やすい形に変換、ダッシュボード上に表示する機能が備わっています。
Power BIをはじめ、Power AppsやPower Automate、Power Pagesなどは、Power Platform*のサービスの1部です。
*Power Platformについてはこちらをご覧ください。
Tableau(タブロー)はさまざまな業界で使用されているBIツールです。データをわかりやすく集計でき、分析業務を効率化できます。
Tableauはデータを入力さえすれば、複数の表やチャートがダッシュボード上で表示されるため、どのように分析するか、何を導き出したいかが決まっていない状態であっても情報を深掘りすることができます。
Qlik Senseは、シンプルかつ直感的な操作でデータを多彩な表現で可視化・分析するセルフサービス型BIツールです。
ITを専門としないユーザーでも簡単にデータを可視化し、多彩なビジュアル表現により多角的な観点での分析を実行できます。
WebFOCUSは、包括的なBIプラットフォームで組織内のあらゆるレベルのユーザーがデータに基づいた意思決定を行うことを支援します。
WebFOCUSの特徴は、そのスケーラビリティと柔軟性にあり、小規模なビジネス分析から大企業の広範なデータ分析まで対応可能です。
また、リアルタイムのデータレポーティングと視覚的なダッシュボードが特徴で、複雑なデータ集計と分析を直感的に行うことができます。
モバイルデバイスとの互換性も高く、外出先からでもビジネスデータにアクセスし、分析することが可能です。
BIを活用した成功事例をご紹介していきます。
経営情報を確認するためにExcelにまとめられた数値を確認する必要があり、手間がかかる上に推移や予測が見えにくいという課題がありました。
また、情報の更新が常にされるわけではないため、情報のリアルタイム性がないのも問題となっていました。
BIツールを活用することで、共有したいデータの取り込みは、連携しているシステムから自動的に抽出することができ、情報が常に最新化されるようになりました。
また、あらかじめ設定した形式にそって、自動的にグラフや図などにビジュアル化されるため、リアルタイムに近い形で経営情報を社内ポータルなどで配信できるようになりました。
営業活動や営業の成果などを確認する際、各営業担当者ごとにまとめられたExcelや報告書を確認していました。
複数の資料から情報を探したり、みたい箇所を探し出すためにかなり時間がかかり非効率でした。
BIツールを活用することで、営業担当者や商材ごと、ステージごとでグラフ化/可視化された情報が1画面で確認できるようになりました。
また、基幹システムやSFA*と連携することで、あらゆる視点や角度からの分析が可能となり、単なる販売数や売上金額だけでなく「利益率」や「在庫回転数」なども簡単に確認できるようになりました。
*SFAについてはこちらの「まだ知らないはもう遅い!SFAのいろは」をご覧ください。
データガバナンスとは、企業内でのデータの運用方法を定義し、マネジメントしていくことを指します。情報漏洩やセキュリティ対策、コンプライアンスの遵守といった基本的な内容から、データの関連性や整合性、信頼性などの企業全体でのデータの価値を高める取り組みも含まれます。
特に経理関係のデータは重要度が高く、データの正確な参照権限やデータへのアクセス者情報の保持、データの更新履歴の保持など、様々な点を考慮しながらデータガバナンスを担保できる経理システムが求められます。データの信頼性が著しく低下している状態では、データを根拠にした戦略に矛盾が生じ、経営状況の悪化を招きかねません。
データガバナンスとは、組織内のデータ管理を統制するための方針やプロセス、役割、責任を定めた枠組みで、データの品質管理、データのセキュリティ、データの一貫性、そして適切な利用を確保することを目的としています。
データの生成、処理、保存、そして活用における全プロセスを監視するといったデータガバナンスは、単なるIT部門の責務ではなく、全社的な取り組みであり、データに関連するすべてのステークホルダーが関与するべきだと考えられています。
さらに、データガバナンスは、役員レベルのサポートを受け、組織全体の戦略に統合されることで、真の効果を発揮します。
BI活用においても、このデータガバナンスが明確であることで、データが確実に活用され、ビジネス上の価値が創出されます。
BIツールは膨大なデータを解析し、洞察を提供する力を持っていますが、その効果を最大限に発揮するためには、正確で信頼性のあるデータが必要です。
そこで、データガバナンスが役に立ちます。
データガバナンスは、上記で説明したように、データの質や整合性、セキュリティ、そして適切なアクセス制御を確保する枠組みを提供します。
具体的には、データガバナンスを適切に実施することで、BIツールが分析に使用するデータが一貫していること、無駄なデータの重複や欠損がないこと、また不正なデータが入り込まないことが保証されます。
これにより、組織全体での意思決定がより迅速かつ正確になるため、BIツールを活用する価値が高まります。
BIツールは、大量のデータを分析し、組織の意思決定を支援しますが、同時にデータプライバシとセキュリティに対する懸念も増しています。
データは企業の最も貴重な資産の1つであり、その管理と保護はビジネスの信頼性と持続性に直結しています。
特に、BIツールは個人情報や企業の機密情報を扱うため、プライバシとセキュリティの両方を確保することが重要です。
データ漏えいや不正アクセスが発生した場合、法的責任や信頼の喪失だけでなく、ビジネスの損失にもつながるリスクがあります。
BIにおけるデータプライバシとセキュリティは、単にツール上の設定だけではなく、組織全体で取り組むべき重要な課題です。
また、技術的な対策に加えて、データにアクセスする従業員の教育やセキュリティ意識の向上も不可欠です。
BIは、これまでデータに基づく意思決定を支える重要なツールとして成長してきましたが、技術の進化やビジネス環境の変化に伴い、今後さらに進化が期待されています。
次世代のBIツールは、単にデータを可視化し分析するだけでなく、より深い洞察を自動的に提供し、組織全体の意思決定をリアルタイムで支援する方向に進むと考えられています。
AI(人工知能)と機械学習は、今後のBIの進化において重要な要素です。
AIと連携させることで、BIツールは過去のデータからパターンを学習し、将来のトレンドや潜在的なリスクを予測できるようになります。
従来のBIが「何が起こったか」を分析するのに対し、AIを活用したBIは「これから何が起こるか」「どのように対応すべきか」を示すことができるため、より積極的な意思決定が可能となります。
BIツールにNLP(自然言語処理技術)が取り入れられることで、ユーザーは専門的なデータスキルを持たなくても、簡単な質問形式でBIを利用できるようになります。
これにより、BIの利用はデータアナリストだけでなく、全社的に広がり、誰でも簡単にデータ分析を活用できる環境が整います。
具体的には、ユーザーが「昨年の売上トレンドは?」と質問するだけで、ツールが自動的に分析結果を提供するなど、より直感的な操作が可能になります。
クラウド技術の進化により、今後のBIはリアルタイムでのデータ処理と分析が主流になると予想されます。
BIをクラウドで利用することにより、常に最新の情報に基づいて意思決定ができるだけでなく、世界中のどこからでもアクセス可能な柔軟なBI環境が実現します。
今回は、BIについての詳細をご紹介いたしました。
BIは、データに基づく意思決定を迅速かつ正確に行うための強力なパートナーとして、企業の成長を支える存在です。
AIやクラウド技術の進化により、BIは今後さらに進化し、より多くの企業がデータの力を活用するようになると考えられています。
データを活用した戦略的な意思決定を行うために、BIツールの導入と、データガバナンスやセキュリティ対策をしっかりと整備することが、企業の成功につながります。
BIを正しく効率的に活用し、リアルタイムで根拠のある経営判断をしていきましょう。