こんにちは!アイ・エス・アイソフトウェアーの八木です。
最初に簡単に自己紹介を。
主に製造業様向けのシステム導入に携わり、北海道を始めとした○○物産展をこよなく愛する入社13年目のSEです。宜しくお願いします。
さて本当は物産展についてのブログを書きたい所ですが、今回のブログでは「サービスパーツ」について書いてみたいと思います。
サービスパーツとは、要は保守部品のことです。アフターパーツなんて言い方をする会社さんもありますね。
このサービスパーツですが、ほとんどの企業でかなり重要な位置付けになっているのではないでしょうか。
その理由の一つとして、サービスパーツを使用する保守業務が重要な事業であることに起因しています。
なぜ保守業務が重要な事業なのか?理由の一つに保守業務の高い利益率があげられます。
保守業務の利益率が高くなるのは、販売の契約時と保守業務の契約時とでは売り手と買い手の立場が逆転するからです。
販売の時は「お客さん!安くしときますからウチの商品選んでくださいよ!」と売り手側が少し弱い立場ですが、保守になるとどうしてもそのメーカーにお願いするということになるので売り手の立場が強くなるというわけです。
このような理由から利益率が高くなります。
利益率が高いと業務的に優先になるのは自然な流れです。1,000円で売って500円の儲けになる商品と200円の儲けになる商品では前者を売るのが当然の選択です。
企業として利益は常に意識するところですから、おのずと利益率が良い保守業務の優先度は高くなるのではないでしょうか。
先に断っておきますが私は利益至上主義ではないですよ(笑)
保守業務を優先したいのに、保守業務で使おうと思っていた部品(仮に「部品A」としましょう)をいざ使おうとした時に、システム的にきちんと計画生産と保守業務で在庫を分けていないと次のようなやりとりが製造現場で起こってしまいます。
計画生産担当「すみません、部品Aを破損させてしまって・・・予備ってありますか?」
倉庫担当「おいおい、丁寧に扱えよ。しょうがないなぁ。システムで在庫状況を確認するから、待ってくれよ。お、10個余っているから使っていいよ。システムで1個だけ引き当てとくね」
計画生産担当「ありがとうございます!」
【計画生産担当、倉庫に移動】
計画生産担当「あれ?あるにはあるけどサービスパーツ用の棚だぞ。使っていいのかなぁ?まぁいいか。引き当てるって言っていたし。」
~1時間後~
保守担当「あれ?無い!部品Aが無い!誰か知らない?」
計画生産担当「その部品でしたら今日通常生産で破損が発生して足りなくなったので使いましたよ」
保守担当「なぁぁぁにぃぃぃ!やっちまったなー!?男は黙って報告だろ!」
上記の保守担当者さんの怒りはごもっともで、現場でもシステムでもきちんとした部品の管理をしていないと優先したい保守業務が優先出来なくなるという事態になってしまいます。
サービスパーツをきちんと管理しようとすると、システム的にも通常生産用部品と保守用部品の在庫を分けて管理することが必要です。
弊社が過去に携わった案件では、システム上で通常業務と保守業務を分離させ在庫も別々に管理するという手法が検討されました。
資材所要量計画(MRP)をする際に、通常業務と保守業務で使用する在庫を取り合わないようにするのが一番の目的です。
しかし、ここで1つ問題があります。こういう部品は最小発注数量(MOQ)というものがあるので、保守業務で5個だけ欲しいけど100個単位でないと買えないということがあります。
5個しか必要ないのに100個も買うのは無駄が多いので、在庫は完全に分けたいけど発注はまとめたいという発注のジレンマが発生します。
これを読まれている皆様の「ホントそうなんだよね、他の会社どうしてるんだろう」という声が瞳を閉じていると聞こえてきそうです。
結局お客様は、システムで部品の歩留まりを登録して安全在庫を確保することで、多少の部品破損が発生しても保守業務用の部品が使われることは無いだろうと、通常業務と保守業務の在庫を一緒に管理する方針を選ばれました。
実際の現場ではそんな綺麗にはいかずに、保守担当が「部品が足りないんです!誰か助けてください!」と工場の中心で欠品を叫ぶことになるのは、これを読まれている皆様なら想像に容易いかと思います。
計画生産と保守業務の在庫をシステムとしてきちんと分けて管理する事が必要で、そのうえで手配業務はMOQによる無駄が発生しうる部品をまとめて発注し、保守業務に必要な量をシステムに在庫登録する方法が妥当だったでしょう。
まとめになりますが、今読んでいただきましたとおり、
という流れで、サービスパーツの管理が重要であること。
そして、
といったサービスパーツの管理が難しいということについて書かせていただきました。
サービスパーツの管理における難しさについては、現場の運用ルールであったり、管理したいサービスパーツの種類数であったり、MOQが適用される部品数の多さなど、お客様によって対応手段が異なります。
その為、システムを導入するにあたっては、現場の運用や取り扱うサービスパーツの実体も含めて把握し、検討する必要があるのです。
そうすれば現場の運用に無理が生じないサービスパーツ管理がシステムで実現できるでしょう。
中堅・大手製造業90社にどのようなシステムを導入しているのか。またどのようなシステムを導入したいのかをお伺いしたレポートをご用意いたしました。
他の製造業がどのようなシステムを利用しているのかのご参考にしてください。