ECサイトやオウンドメディア*の運営をするにあたり、競合他社の情報を参考にしたい場合や、自社の立ち位置が知りたい場合があると思います。
1つ1つ手作業で見て行くこともできますが、DXが推進されている中でデータ周りは自動化できたらなと考えている方が多いと思います。
そこで、活躍するのがRPAの1つ「スクレイピング」です。
今回は、データ活用の際に活躍するスクレイピングについてご紹介いたします。
*オウンドメディアについては、こちらの「企業を周知させる最適な方法!オウンドメディアの運営について」をご覧ください。
Webスクレイピングと呼ばれることもある「スクレイピング」とは、Scraping(こする・かき集める)という単語の意味の通り、「 情報やデータを取得し、新たな情報として利用しやすい形に加工すること」です。
IT業界ではRPA*の一種とされ、Web上に公開されている情報の中から、ある特定の情報だけをピックアップできる技術のことを指します。
スクレイピングを活用し収集した情報は、自社のECサイトやコンテンツ・ビジネスを最適化するのに使えます。
RPAを使ってプログラム間でやり取りしているデータの中には、普通の人では理解できないようなデータが多くあります。
スクレイピングは理解できないデータを除去し、普通の人でも理解できるデータにします。
*RPAとは、「Robotic Process Automation」の略で、機械学習や人工知能などを活用し業務を効率化・自動化する概念のこと
Web上の情報を集めるスクレイピングと似たような意味の言葉に、「クローリング」があります。
どちらもWeb上の情報を収集するために欠かせないものですが、どのような違いがあるのでしょうか。
スクレイピングとクローリングは「ごみの分別」と「掃除機」にたとえることができます。
スクレイピングはWeb上にあるデータを集め、有益な情報のみを抽出します。
一旦全てのごみを集めてから分別していくイメージです。
一方クローリングは、Web上のデータを集めることしかしません。
掃除機でどんなごみでも吸い込むイメージです。
もう少し詳しく具体的に、HTMLを例に出してお伝えします。
サイトにある記事などは、HTMLと言われるもので構成されており、見出しやサブタイトル、本文といった指示を書きます。
< p >こんにちは< /p >と書くとします。
クローリングでは、「< p >こんにちは< /p >」が丸ごと収集されます。
しかし、プログラマーではない普通の人にとって、「< p >や< /p >」は必要でない情報です。
これを取り除いて、「こんにちは」という情報だけをくれるのがスクレイピングです。
クローリングとスクレイピングを組み合わせることで、有益なサイトから有益な情報だけを収集することができます。
スクレイピングは、検索順位や株価の変動、オークションの価格変動など数字の動きに関するデータを収集できます。
数字に関するデータはマーケティングを行っていく上で欠かせません。
スクレイピングを活用することでリアルタイムに競合他社をリサーチすることができるため、自社製品に最も適切な価格帯を設定することが可能です。
1つの企業を見てもその中には様々なシステムが存在しています。
DXを進めていくためにはデータ活用が肝になってくるため、各システムから収集できるデータを適切に収集する必要があります。
しかし、あらゆるシステムからのデータはばらばらで複雑なので、人の手でデータを処理することはとても難しいです。
スクレイピングは、社内にある様々なデータを収集し分析することを得意としています。
手動で行うとなると不十分かつ不正確になってしまうデータ処理も、スクレイピングを活用すれば自動で正確なデータ分析にすることができます。
Web上に大量に存在するECサイトをスクレイピングすることで、様々な商品の内容や情報を収集できるため、自社の商品開発や、価格設定の際に効果を発揮します。
他社のECサイトに自社製品と似たものが売られていた場合、その機能や性能、価格がわかればそれを上回るものを作り、安く販売するとより売上があがるかもしれません。
また、ECサイト上の商品レビューも自社他社問わず集めることができるため、自社製品の向上に役立ちます。
DXや働き方などから、データに関することは自動化し、業務効率化を狙っていきたいという企業がほとんどです。
スクレイピングは、データの収集から分析、活用までを自動化できます。
そのため、今まで時間をかけて手作業で行ってきたデータ収集やデータ活用の時間を大幅に削減することができます。
スクレイピングは、社内のみならずWeb上にあるデータの収集や分析、活用ができるため、幅広いデータを扱うことができます。
現在どういったものが流行しているのか、集客率のいいコンテンツは何なのか、など社内だけでなく社外のデータを見てみることで新しいビジネスチャンスが見えてきます。
スクレイピングで社外のデータを扱うとき、他社のWebサイトにアクセスして、そこからデータを抽出しますが、そのアクセス頻度が多い場合には注意が必要です。
過度なアクセスによって相手サーバーに負担をかけている場合、一時的に他社のそのサイトを閲覧できなくなるなどのシステム障害をもたらす可能性があります。
1秒間に数回のアクセスが行われるとサーバーの負担になります。
したがって、過度なアクセスは避けるようにしましょう。
なんでもかんでもスクレイピングをしてしまうと、違法行為になってしまう可能性があります。
違法行為にしないためには、「情報収集と情報解析を目的にする」「取得したデータや情報はそのまま譲渡しない」という2つのルールを守らなければなりません。
たとえば、スクレイピングで集めた情報を第三者にそのままの形で販売すると、著作権の侵害になる恐れがあります。
「ある会社の製品価格を参考に、自社製品の価格設定したい」といった理由であれば、情報収集や解析が目的となっているので問題ありません。
自社のサイトを検索結果画面の上位に持ってくる貯めには、SEO対策が必要不可欠です。
SEO対策を行う上で必要な情報は「どんなワードが検索上位にいるか」です。
スクレイピングを活用することで、現在人気のあるワードに関してのデータ収集、分析ができます。
リードジェネレーションは、すべての企業にとって重要なマーケティング・セールス活動です。
2020年にHubSpotは、インバウンドマーケターの61%が、トラフィックとリードの生成が第1の課題であると答えたという調査結果を出しています。
スクレイピングでWeb上のデータを利用すれば、構造化されたリードリストにアクセスすることができるため、効率的なリードジェネレーションに繋がります。
今回は、Web上にある社内外のデータを収集し、新たな情報として利用しやすい形に加工、分析が自動でできる「スクレイピング」についてご紹介いたしました。
過度なスクレイピングをしてしまうとサーバーに負荷がかかりすぎてしまいます。
また、スクレイピングで収集したデータをそのまま第三者に譲渡すると、著作権侵害などの違法行為になってしまうこともあります。
スクレイピングを正しく適度に活用し、データ分析に拍車をかけて行きましょう。