PC画面上にあるマウスが勝手に動き画面を操作をしているところを見たことないでしょうか?
近年、DX推進や業務効率化のため、手順が決まっている定型業務をロボットに任せる企業が増えています。
必ずと言っていいほど「業務自動化」や「DX」という単語と絡んでくる「RPA」ですが、種類やできること、できないことおさえられていますか?
今回はそんな「RPA」についてご紹介します。
RPAとは、「Robotic Process Automation」の略で、PC上での定型業務を自動で行ってくれるロボットのことで、PC上の座標を認知し動くRPAと、文字やボタンなどを認知し(OCR*)動くRPAがあります。
RPAができることは大きく分けて「作業手順が決まっている業務」「電話・メールのサポート業務」「データの収集・分析業務」の3つです。
RPAには、「サーバー型」と「クラウド型」と「クライアント型」の3種類が存在します。
サーバー型では、その名の通りサーバーにRPAをインストールすることで利用が可能です。
クラウド型は、インターネットのクラウドサーバー上で稼働します。
デスクトップ型と言われることもあるクライアント型では、各PC端末にRPAをインストールすることで利用が可能です。
サーバー型RPAは、サーバーの性能に応じて処理能力も高くなるメリットがありますが、専門知識が必要になることや導入に時間がかかる場合もあります。
クライアント型RPAは、個人導入もできるため、個人や部門など限られた範囲のみで利用することができます。
また、日次・週次・月次など、決まったタイミングで作業を実行することができるRPAもあります。
*OCRについてはこちらの「どこまで知ってる?AI-OCRについて」をご覧ください。
請求書を添付し大量の取引先へ送る業務です。
本文は固定で、添付ファイルと宛名だけを手作業で変え、数百件の企業にメールを送っている企業がまだまだたくさんあります。
手作業で行うと時間がかかるのはもちろん、宛先の選択ミスや添付ミスなどのヒューマンエラーが発生してしまいます。
RPAではこの手作業で行っている添付ファイルや宛先の選択を自動化することができます。
また、メール受信後の業務でもRPAを活用することができます。
たとえば、メールの内容や添付された発注書などを社内システムに入力する作業では、OCRとRPAを活用することでフォーマットの異なる添付ファイルでも自動で読み込み、入力まで自動化できます。
営業活動などに関わる日報メールでも自動化できる部分があります。
営業担当者が、その日1日の業務をまとめた報告書を毎日作成している企業があります。
営業活動をSFA*やBI**などの決まった形で管理していれば、RPAがそれらのシステムからデータを抽出し日報を自動的に作成することが可能です。
*SFAについてはこちらの「さらに営業UP?営業管理ができる「SFA」の全て」をご覧ください。
**BIについてはこちらの「データの可視化で意思決定をサポート! 「BI」についてとそのメリット」をご覧ください。
SNS上にある口コミ情報収集についてもRPAが活用できます。
自社の製品やサービスに対してどのようなコメントがされているのかを自動で収集し、Excelなどにデータでまとめることが可能です。
マイナス意見とプラス意見を分けて収集できるRPAも存在するので、製品やサービスに関する好感度調査も行うことができます。
CRM*とSFA、Excelなど顧客情報を複数システムに渡って管理している場合、同じ内容をそれぞれのシステムで繰り返し入力することになります。
これを手作業で行うとなると、コピー・アンド・ペーストでのミスや誤入力などといった人的ミスが起こってしまいます。
RPAでは、一箇所に顧客情報を入力するだけで自動で他のシステムにも顧客情報を登録することができます。
*CRMについてはこちらの「顧客情報の一元管理できていますか?顧客関係管理「CRM」について」をご覧ください。
手順が複雑な作業やルールが決まっていない非定型業務はRPAで自動化することが難しいことがあります。
RPAは画像や位置を認識し動くものが多いため、システムのバージョンアップやWebサイトの更新などでレイアウトの変更があった場合、エラーが起きてしまうことがあります。
RPAは、自ら考えて動く業務は得意としていません。
AだったらCする、BだったらDする、その他ならEするといった条件分岐処理はできますが、条件分岐に乗せられない臨機応変な業務には対応できません。
たとえば、元になる顧客データの名前の欄に電話番号が入っていたとします。
人間であれば、名前の欄に電話番号が入力されているため修正が必要だと判断することができます。
一方RPAでは、修正が必要だと認識することができません。
イレギュラーな事象が発生した際にどうすべきかの手順やルールをあらかじめ設定しておく必要があります。
1つ目の事例は「EC事業」です。
当日出荷や翌日配送と表記している商品において、注文当日または翌日に出荷通知を出さなければショップの評価が下がってしまいます。
そうならないため、外部倉庫の出荷と、送り状番号の手配が完了するまで残業が発生する従業員が出てしまっていました。
そこで、ECサイトから注文が入ったら外部倉庫の管理画面から送り状のデータをダウンロードし、基幹システムに取り込むまでの一連の業務をRPAで自動化させました。
送り状データの出力から基幹システムへの入力まで自動化することで、出荷の遅延をなくすことができました。
また、売上やアクセス数などのデータも自動的に抽出できるようになり、分析業務も効率化させることができました。
2つ目の事例は「不動産業界」です。
物件を掲載している複数の媒体からお客様が資料請求してきているが、基幹システムへ入力する時間がなかなか取れず、営業のタイミングを失ってしまっていました。
また、他の作業としては、毎日最新の物件情報を取得し、基幹システムに入力する業務を行っていました。
RPAの導入で、物件を掲載している複数媒体から新規資料請求者情報や新着物件情報を取得し、基幹システムへ自動入力させることに成功しました。
最後3つ目の事例は「税理士」です。
税理士は、細かく工程の多い業務がたくさんあるうえに、1つひとつの業務に対して正確さが求められます。
Excelと会計ソフト間のインポートや転記、データの集計、顧客情報の登録をはじめ、月次試算表を出力し、メールで送信するなど様々な業務があります。
RPAの導入で、Excelと会計ソフト双方への入力がなくなり、月次試算表の送付も自動化させることができました。
RPAはロボットであるゆえ、ミスに気づくことができず、ミスをミスのまま入力してしまっている可能性もあるため、業務内容によっては最後の工程をあえて手作業で実行する方法も取り入れ、業務効率化とミスの削減が実現されました。
今回は、「DX」や「業務効率化」に欠かせないRPAについてご紹介いたしました。
各PC端末にRPAをインストールすることで利用が可能なデスクトップ型、インストールすることで利用が可能なサーバー型RPA、各PC端末にインストールすることで利用が可能なクライアント型RPA(デスクトップ型RPA)とインストール方法が3種類のRPAが存在します。
全てに対応しているRPAもあれば、どれか1つのみに対応しているものもあります。
RPAはどの業種向けとは特に決まっておらず、人の手で行っている定型業務であれば自動化させることができます。
RPAの導入時にはまず、自動化する業務の選定が必要になります。
RPAを使って自動化できるか判断できない業務や、自動化できる業務だと自分では気がついていない業務があると思います。
こんな業務は自動化できる?などの課題やお悩みは、お気軽にお問い合わせください。
無料のRPAでも様々な種類が存在するので、まずは無料のRPAからお試ししてみるのもいいかもしれません。
また、RPAを夜間のみ行う、月に何回だけ行うといったようなサブスク形態のサービスも存在するので、有償サービスであってもスモールスタートも可能であるため、RPAに興味がある方は、無料またはスモールスタートでできるRPAを試してみてはいかがでしょうか。