ABMという言葉をご存じでしょうか?
「アカウント・ベースド・マーケティング」と聞くとピンとくる方がいらっしゃるかもしれません。
ABMとは、それぞれの単語の意味通り、特定の企業に対してマーケティング活動をしていく事です。
今回は、効率よく、確度の高いマーケティング活動ができる「ABM」についてご紹介いたします。
ABMとは、「Account Based Marketing(アカウント・ベースド・マーケティング)」の略で、「無数に存在する企業の中で特定の企業(アカウント)に絞って個別にアプローチをする」BtoB向けのマーケティングのことです。
対義語として、広くリードを集める「デマンド・ジェネレーション」があります。
デマンドジェネレーションは、見込み顧客を多く集めスコアリングし、受注確度が高まると営業に引き渡します。
よく例にあがるのが、デマンド・ジェネレーションは「投網」で、ABMは「モリ」という魚の捕獲方法です。
投網(デマンドジェネレーション)は、魚(顧客)がいそうなところに網を投げて多くの魚を獲ろうとするのに対し、モリ(ABM)は、捕ろうとする魚(顧客)の動きを見定めて捕まえます。
一般的な企業のマーケティング活動では、データに基づかず闇雲に企業にアプローチしてしまうことが多いため、それに伴い機会損失も多くなってしまいます。
そこでABMの考え方のもと、SFA*やCRM**の導入をしていきます。
SFAやCRMを活用したABMを行うことで、売れるクライアントに売れるタイミングで最適なアプローチができるため、営業の機会損失を減らし、売上を上げることができます。
また、闇雲に企業にアプローチをするのではなく、特定の企業に絞ってアプローチしていくため、効率の良いマーケティング活動が可能になります。
無駄なアプローチが減ると、もちろんそこに割いていた時間も減るので、1つひとつに注力することができます。
さらにABMでは、莫大なアプローチデータではなく、特定のターゲット企業のデータだけを分析するので比較的工数がかからずに分析が可能です。
*SFAについてはこちらの「さらに営業UP?営業管理ができる「SFA」の全て」をご覧ください。
**CRMについてはこちらの「顧客情報の一元管理できていますか?顧客関係管理「CRM」について」をご覧ください。
実際にABMを行う際にはどういった順序で進めていけば良いのでしょうか。
以下の図に沿って4つの流れをお伝えいたします。
まずは、自社にとって注力すべき対象となるアカウント(企業)はどこかをリストアップしましょう。
ABMの狙いは、ターゲットを明確にし、ターゲットに合った戦略で企業を攻略することにより、売り上げの最大化を図ることです。
そのために、企業を選定する際の軸として「高い利益を生む可能性があるか」「自社のサービスとの相性がいいか」「自社の戦略に合致するか」「自社の競合のサービスを利用しているか」の4つを意識してみてください。
そして、企業規模や役職、職種といった、自社サービスを導入してもらう際の関係者のペルソナも設計してみましょう。
STEP3にも絡んできますが、サービス導入に際し意思決定に関わる人が複数人存在するケースが多く存在します。
対象の企業に意思決定者が何人いて、どの部署に所属しているのかもペルソナ設計の際に入れ込むのが理想です。
次に、アカウントプランを策定しましょう。
意思決定者にとって価値のあるコンテンツやメッセージを提供することで、関心を持ってもらえる可能性が高まります。
対象の企業に「あなたのサービスなら重要な課題を解決できるかも」と思ってもらえるようなプランを策定する必要があります。
一度立てたプランを永遠に続けていくことはほとんどなく、施策実行後に評価や改善といったPDCAサイクルをまわし続けるのが一般的なので、初めから完璧を求めすぎないように注意しましょう。
アカウントプラン策定のあとは、アプローチ施策を検討しましょう。
対象企業内の意思決定者とのコンタクトポイントの有無を確認します。
EメールやDMなどのコンタクトポイントがすでにあれば直接的なアプローチが可能ですが、なければコンタクトポイントを作成する手段から検討する必要があります。
新たにコンタクトポイントを作る方法としては、オフラインであれば展示会での名刺獲得や電話、オンラインであればIPアドレスで対象企業へのみバナーを配信する広告や、Facebook広告などがあります。
ここまでの準備が完了したら、STEP2で考えた施策をSTEP3で考えた方法で対象企業に実施していきましょう。
ABMでは、接触頻度を高めることが求められます。具体的にはインサイドセールスによる電話・メールやMA*ツールを活用したメルマガやセミナーなどを繰り返し行ってみるのも効果的かもしれません。
ここで大切なのが、アカウントに対しアプローチを実施したままにせず、振り返ることです。
アプローチ実施後は、価値の高い顧客へのアプローチができているのか」、「対象企業とのエンゲージメントは強化されているのか」を中心に評価・測定をしましょう。
この評価・結果をもとにPDCAサイクルをまわし続け、時間をかけて最適なABMにしていきます。
*MAについてはこちらの「潜在顧客がみるみる見えてくる 「MA」とは」をご覧ください。
今回は、「アカウント・ベースド・マーケティング」と呼ばれるABMについてご紹介いたしました。
ABMは、自社の利益に直結しやすい顧客を絞り込み、戦略的にマーケティングを行いたいときに有効です。
ABMを実践するための手順は、「対象アカウント設定」「アカウントプラン策定」「アプローチ施策検討」「アプローチ実施」の4ステップです。
この4つのSTEPでとどまらず、アプローチ結果を分析し、それを踏まえたアプローチを再考するのが重要なポイントです。
PDCAをしっかりとまわし、効率かつ確度の高いマーケティング活動をABMで実現させましょう。