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システム導入を失敗させない!ITシステム選定時のポイント

ITシステムを導入したり刷新する際には、社内でいくつかのITシステムを比較し、どれにするかを選定するのが一般的な流れです。

より多くの情報を入手することで、自社の課題を解決できるよりよいITシステムを検討することができます。インターネット上での情報収集だけでは、得られる情報に限界があるため、ITベンダーに資料を請求したり、解決策を提案してもらったり、情報を提示してもらうことが必要です。

ベンダーからそういった情報を提示してもらうためには、「RFP」や「RFI」「RFQ」といった「RFx(Request for XXX)」をベンダーに提出します。ベンダーは「RFx」から情報を読み取り、自社の課題を理解したうえでより最適な提案や情報開示をしてくれますので、IT導入を進めるうえで「RFx」は非常に重要です。

今回は、ITシステム導入を検討する際に必要となる「RFx」について基本的なことから、ITシステムを選定する際の手順や評価ポイントをご紹介いたします。

ITシステム選定の流れ

システムを選定し、導入を決定するまでの一連の流れは、一般的に下記です。

  1. ニーズ・課題・ゴール(KGI)の定義
  2. 市場調査と情報収集(RFIの作成)
  3. 要件の明確化と優先順位付け
  4. RFPの作成
  5. 提案の評価と選定
  6. 契約

まずはシステムを導入するに至ったニーズや課題を明文化します。さらにシステムを導入することで得たい効果(ゴール)を明確にします。ここが曖昧なまま進んでしまうと、目的と手段が逆転したIT導入になってしまい、思っていた効果が得られないまま、使いづらいシステムだけが残ってしまいます。

ニーズ・課題・ゴールが明確になったら情報収集を始めます。この段階ではRFIを活用して多くのベンダーに声をかけます。自社で調べきれなかったシステムや情報が出てくることもあり、より自社にマッチしたシステムの選定につなげることができます。

出揃った情報をもとに、要件を明確にしていきます。具体的な技術要件や機能要件を業務レベルに落とし込んで整理していきます。自社にとって本当に必要な必須要件と優先度の低い要件に分けることができると、後の評価や選定を効果的に行うことができます。システムを利用することでどのような効果が得られたかを分析するKPIも設定しておくとよいでしょう。

要件が明確になるとRFPの作成に移ります。ベンダーからの提案を受けるために必要な情報を盛り込んでいきます。RFPはRFIをもとに声がけしたベンダーから、自社の課題を解決してくれそうなベンダーをピックアップして声がけします。

ベンダーからの提案が出揃ったらいよいよ最終選定に移ります。様々な評価軸をもとに、どれが一番自社にマッチしており、課題を解決できるのか、効果が期待できるのかを整理します。ここまで要件が明確になっていると素晴らしいベンダーからの提案を受けることができ、よりよいシステム導入が期待できます。

Request for XXX(RFx)

RFI(Request fro Information)

RFIとは「Request for Information」の略で、日本語では「情報提供依頼書」と呼ばれています。

企業がITシステムの導入やリプレースを計画する際に、SIerやベンダーに対し「各SIerやベンダーの製品・サービスについての詳細を知りたい」と会社の基本情報や実績等の提示を求める依頼文書のことです。

RFIは初期段階で提出することが多く、カタログなどには載っていない詳細な情報を入手するために使用します。より具体的な情報を収集するために、RFIには自社の課題や要件をできる限り具体的に記載します。そうすることで、ベンダーから自社の課題に沿った必要な情報を得ることができます。

RFIには主に下記の内容を記載します。

  • 企業概要
  • 目的・背景・課題
  • 業務内容
  • 予算(概算コストや予算範囲)
  • KGI
  • 質問内容
  • 回答期限

メリットや作成時の注意点などはこちらの「ベンダー選定には必須? 提案依頼するRFP作成のポイント!」からご覧ください。

RFP(Request for Proposal)

RFPとは「Request for Proposal」の略で、日本語では「提案依頼書」と言います。

企業がITシステムの導入やリプレースを行うにあたり、発注先を選定するため、候補となるシステム開発会社に具体的な提案を依頼する文書です。RFPは情報収集が完了したあとに、具体的な計画をもって作成します。

RFIで収集した情報から選定したベンダーやITシステム・サービスに対してRFPで提案を求めます。

RFPには主に下記の内容を記載します。

  • 会社情報
  • 目的・背景・課題
  • KGI・KPI
  • 業務内容
  • 技術要件・セキュリティ要件
  • 外部連携要件
  • スケジュール
  • 予算
  • サービス要件(サポート体制やシステム研修などの要望)
  • 契約条件
  • 質問内容
  • 回答期限

RFPについてのメリットや作成時の注意点などはこちらの「ベンダー選定には必須? 提案依頼するRFP作成のポイント!」からご覧ください。

RFQ(Request for Quotation)

RFQとは、「Request for Quotation」の略で、日本語では「見積依頼書」と言います。

システムやITツールの導入を考える際に必要となる「商品やサービスの料金」を知りたい時、自社の要件に対応する見積もりを出してもらうために購入を検討しているベンダーに対してRFQを提出します。

RFQ作成時には、「依頼主(自社)情報」や「仕様」、「納期」「支払い方法」などの情報を必要に応じて記載します。

RFQは、RFPの中に記載しRFP提出のタイミングと合わせてしまうこともあります。

評価ポイント

「RFx」をベンダーに提出し、返答が来たらそれぞれの評価に入ります。

以下のような項目で考えてみるとそれぞれの提案内容をしっかりと評価できます。

評価項目や評価の重み付けはRFPを作成する段階で決めておきます。RFPに評価の重み付けを明示しておくと、ベンダーが提案時に重要視するポイントが明確になるため、

企業の評価項目
ベンダーの財務状況に問題はないか、同業への導入実績は充分か。
提案の評価項目
依頼時に指定したフォーマットで回答してくれているか。プロジェクトリーダーの経験は充分か。導入体制は充分か。導入計画は適切か。将来を見据えた提案があるか。
システム機能の評価項目
機能要件及び非機能要件の網羅性は高いか。非対応の要件への対応案はあるか。操作性は良いか。
コストの評価項目
イニシャルコストや5年間のランニングコスト、個別での開発が予想されるバージョンアップ費用などはどのくらいかかるのか。

ベンダーからの提案の比較には、評価視点と評価項目の結果を見ます。評価項目から各提案に点数をつけ、総合点の高いベンダーが発注対象として候補に上がります。重視する評価項目や、つけた点数の理由なども考慮しながら検討を進めていきます。

評価を点数化して比較することで、どのベンダーのシステムがより自社に合っているかという点を明確に判断できるようになります。

補足:稟議を通すためのコツ

ITシステムを導入する際には、社内で稟議を通す必要がある場合があります。

もちろん稟議が通らないと次に進めないため、通るまで何度も稟議に上げることもあるでしょう。

では、稟議を通りやすくするためにはどうすれば良いのでしょうか?

稟議が通りやすい人の共通点は何か、稟議に通りやすい資料を作成するためにはどのような工夫をすれば良いのかなどをご紹介した記事を提供しています。

詳しくはこちらの「システム導入における稟議を通りやすくするためにできること」をご覧ください。

今回は、ITシステムを導入する際に必要となる手順や評価の方法をご紹介いたしました。

ベンダー情報とそのベンダーが取り扱う製品やサービスについての情報を求める際に活用する「RFI」や「RFP」、「RFQ」の使い分けや、それを踏まえてどのように判断すればよいのかが本記事から参考になっていれば幸いです。

弊社ISIでも様々なITソリューションから業務効率化のお手伝いなどを行った実績が多数あります。

ITシステムの導入で何かお困りなことがございましたらぜひISIにご相談ください。