物流関係・ロジスティクスにおいて、AIやドローン、無人自動運転などITを取り入れようかなと考えたことはありませんか?
また、ITを取り入れることで、どう効率化するのか、どういったメリットがあるのか知りたくはありませんか?
そこで、今回はスマートロジスティクスについてご紹介いたします。
スマートロジスティクスとは、ロジスティクスをスマートに行なっていこうという考えです。ロジスティクスとは、原材料の調達から消費者の手に届くまでの「調達・生産・販売・回収」プロセスを一元管理することを指します。
つまり、ロジスティクスに関わる工程をIoTやAIなど最新のデジタル技術を活用し、スマートに行なっていこうという考えのことです。
物流とロジスティクスが同じではないかと思われるかもしれないですが、物流は、「商品の調達、生産、保管、輸送に至るモノの一連の流れ」という意味で使われており、ロジスティクスは「調達から生産・物流・販売までをボーダレスに最適管理すること」と使われているため、少し意味が異なります。ロジスティクスの中に物流業務があるというイメージですね。
スマートロジスティクスは「倉庫IoT」と「輸送IoT」の大きく2つの種類に分かれます。
倉庫IoTとは、倉庫管理や倉庫業務をネットワークで管理する技術です。
倉庫内で行われる検品や仕分けなどをネットワークで管理することによって、倉庫業務の効率化と、ヒューマンエラーの防止が実現ができます。
倉庫IoTで活用されている主な技術には、以下のようなものがあります。
輸送IoTとは、配送をネットワークで管理する技術です。
商品や資材などを配送する際に、現在位置や移動状況などを簡単に把握できるため、配送の効率化やトラブルの回避に役立ちます。
輸送IoTで活用されている主な技術には、以下のようなものがあります。
主な物流の作業フローは、「受注→梱包→仕分け→流通加工→ピッキング→入出庫・商品管理→輸送・配送」という流れです。
梱包や流通加工などでは、一つ一つ手作業で、依頼者の意向に応じ、商品をすぐに陳列・販売できるよう保管中の在庫にラベル・値札貼りなどを行なっています。
また、ピッキングや入出庫・商品管理でも、一つ一つ手作業で、不良品の有無などを検品し、破損を防ぐための緩衝材を準備、その後、個数のミスや配送日ミスがないかなどをチェックしています。
しかし、物流業界は慢性的な人材不足が課題となってきており、今までのように一つ一つ手作業で行なってきた作業や確認をすることが難しく、いかに効率のよい作業にするのかが課題になっています。
スマートロジスティクスが話題に挙がっている背景には、EC市場の拡大があるのではないかと考えられています。「令和2年度産業経済研究委託事業*」では、BtoCにおけるECの市場規模は、2019年で10兆515億円、2020年で12兆2,333億円と伸長率は21.71%に上ります。
ではなぜ、EC市場の拡大がスマートロジスティクスの普及と関係があるのでしょうか。
それは、少量かつ少額な小口配送が増加したことにより、仕分け作業の増加・そもそもの配送業務が増加したからです。
配送売上単価の減少により、トラック1台で配送できる荷物の価値が下がってしまいました。
また、先ほどの物流業務・管理のところで述べたように、仕分け作業や配送業務の増加により、人材不足などが課題となっています。そのため、物流業界の負担は大きくなり、ロボットやドローンなど作業をオートメーション化(自動化)する、スマートロジスティクスに着目する企業が増加しました。
*経済産業省「令和2年度産業経済研究委託事業」(2021年7月)
Amazonの物流倉庫では、入荷した商品それぞれの体積を入力すると、その商品のサイズにもっとも適した棚へと保管するという指示が出るようになっており、スタッフが棚入れの場所を決める必要がなくなります。
このようにAIを利用し、後ほどご紹介する無人運転システムと連携させ、商品の受け渡しや棚入れまでを正確に行なうことで、少人数でかなりの仕事がこなせるようになります。
また、将来的には商品のサイズを入力せずとも、AIが画像判断をし、ストック場所を決めるというシステムの普及も見込まれているので、出荷ピッキングから梱包など入出荷全てにおいて自動化されると予想されます。
無人でプログラムされた通りに移動するロボットフォークリフトが活用され始めています。
人件費の削減の見込みはもちろん、移動範囲に人がいる状況がなくなるため、安全性が増し事故を防ぐことができます。
また、商品を運ぶだけでなく、1点ずつ棚入れしたり、棚からピッキングするロボットの開発・実験も行なわれている段階にあるので、さらに自動化の進んだ商品の移動を期待することができます。
国内の物流配達は現時点でも95%以上が陸上のトラックが占めており、ドライバー不足が問題となってきています。そのため、フォークリフトの無人運転に加え、商品を運搬するトラックまでも無人になるのではないかとされています。
すでに、現段階でヤマト運輸がDeNAと協力し合い、指定した場所に予約時間ちょうどに無人自動運転の自動車が到着し、商品の受け渡しが行なわれるという実験がされています。
ドローンを活用し、商品の配送を行なう仕組みも研究されています。路面を走る必要がないため、渋滞のないスムーズで迅速な配達が可能になり、車両で配送することが困難であった山間部への宅配も容易になりました。
ドローンが商品を配送する未来実現のために、都市部を中心に法整備させ、ドローン専用の空路を作る計画も練られているそうです。一家に一台自宅配送専用のドローンを保有する時代が訪れるのかもしれませんね。
次に、スマートロジスティクスを取り入れることで得られるメリットをご紹介いたします。
まずは、企業側のメリットです。
何度もお伝えしましたが、スマートロジスティクスを導入することで、仕分けやピッキング、入出庫や配送などの作業工程がかなり効率化されます。また、それぞれを自動で行なってくれるようになるので、人材不足解消、または人件費の削減になります。
また、AIが収納場所や経路などを判断するため、人的ミスが起こりにくくなります。
次に、エンドユーザー側のメリットです。
自動運転やドローンでの管理・配送をすることで、今までの時間指定よりも細かい時間指定が可能になり、さらに、自宅以外の好きな場所で受け取りをすることも可能になるでしょう。
ヤマト運輸株式会社は2024年問題にもなっているドライバー不足やEC配送の増加に対応するために、集配コースを自動で組み立ててくれるシステムを導入しました。
自動で効率的なルートが組まれるため、ドライバーの能力や配送量に関わらず、効率的な配送が可能になりました。
Amazonでおなじみのアマゾンジャパン合同会社の兵庫県尼崎市の物流拠点では、商品棚の下にロボットを搭載し、注文に応じてスタッフの元に商品棚が動くシステムを採用しています。
物流業界では自動化がとても注目視されていますが、アマゾンジャパン合同会社では全自動化ではなく、人の手も活用し効率化しているのが特徴です。
膨大な多様な商品を扱うからため、全自動化は難しく、よくあるミスや安全面の注意などを徹底したうえで、最新技術と人の手をうまく融合させた無駄のない仕組み作りを続けています。
モノタロウでおなじみの株式会社MonotaROの物流施設に導入されているスマートロジスティクスにより、15時までの注文は当日出荷、翌日着といったスピーディーな配送を可能にしています。
兵庫県猪名川町の物流センターでは、「Racrew(ラックル)」という小型無人搬送ロボットを導入し「歩く必要のない物流センター」を実現しています。
入荷や出荷、ピッキングなどの作業はロボットが担うため、センター内を動き回る必要はありません。
スマートロジスティクスによって管理できる商品在庫が増え、より多くの商品を取り扱う拠点として稼働しています。
以上、今回は、スマートロジスティクスを導入することで商品の運搬などのロジスティクスを効率化できるんだということをお伝えしました。
スマートロジスティクスを導入するかどうかはもちろん、在庫管理など、倉庫・物流関係でお悩みの方は、ぜひ弊社ISIにご相談ください!
また、在庫管理についての記事も投稿しておりますので、在庫管理×ITについて知りたい方はこちらをご覧ください。