原価の高騰や人手不足など、製造業を取り巻く厳しい状況になってしまう前に、大幅な業務効率化を実現したくはありませんか?
「社内共有のタイムラグによるロスが発生している」「リードタイムを短縮したいが現場の状況が見えてこない」など、製造業における課題は様々あるかと思います。
そこで今回は、製品の企画から設計、生産、販売・保守といった一連の流れを効率化するための管理方法「PLM」についてご紹介いたします。
PLMとは、「Product Lifecycle Management(プロダクト・ライフサイクル・マネジメント)」の略で、製造業において「製品のライフサイクル全体を統合的に管理する方法」を意味します。
労働人口の減少や景気の悪化など、製造業界における現状が厳しくなってきている中でPLMは企業の競争力や売上向上に有効だとして注目を集めています。
ここで言う製品のライフサイクルとは、自社製品の企画から設計開発、製造、販売、保守までを指します。
企画や生産、販売といった各プロセスを関連付け、共有することで業務プロセスの効率化やモノづくり体制の強化を図ることができます。
航空・宇宙産業や自動車産業、電機産業や産業機器業界など幅広い分野で広まっています。
PLMの目的は、市場の変化やニーズに対応した高付加価値の製品を他社より先に作り出すことで、業務効率や開発力、企業競争力を強化することです。
業務効率や開発力、企業競争力を強化することで企業の存在価値を高めるために重要な役割を果たします。
PLMとよく似た意味を持つ言葉に「PDM」があります。
PDMは、「Product Data Management」の略で、CADやBOM(部品表)などの設計工程で発生するデータを、一元管理するシステムです。
PLMとPDMの違いは、管理対象になるデータの範囲です。
PLMはライフサイクル全体のデータを管理するのに対し、PDMでは、設計BOMやCADデータといった開発・設計工程における製品情報を一元管理します。
つまり、PLMで管理するデータの一部にPDMが扱うデータが含まれているイメージです。
次に、PLMのメリットを4つご紹介します。
まず1つ目は「製品の品質が向上する」ことです。
PLMで製品仕様や設計データ、品質テスト結果などの情報を統合管理すると品質の一貫性が実現され、顧客からの信頼を獲得することができます。
2つ目は「生産性の向上」と「業務効率化」です。
各部門ごとでExcelで情報を管理していたり、紙に印刷して保管していたりといった企業が多いかと思います。
この方法だと、情報を部門間で伝達する際、情報に重複や抜け漏れ、間違いが発生しやすくなります。
PLMでは、自社製品の企画・開発から製造・販売・保守・廃棄まで、一連の製造プロセスに関するデータを一元管理することができ、共有・連携まで可能です。
情報が一か所にまとまることで、製品の設計変更や品質管理など製品ごとに紐づく情報が常に正しいものとなります。
各部門間での共有や連携が正しく素早く行えるようになるため、生産性の向上と業務効率化が期待されます。
3つ目は「製造コストの削減」です。
売れる製品の共通点として多く挙げられるのが、「安くて質がいい」です。
良い製品を安く販売するためには、製造過程における無駄なコストを可能な限り下げる必要があります。
PLMでは、情報が一元管理されているため、欲しい情報をすぐに探し出すことができるうえに、情報共有などのリードタイムが短縮されます。
つまり、時間的コストが削減でき、製品をより安価で提供することが可能になります。
4つ目は「市場ニーズの素早い把握」です。
先ほど、リードタイムが短縮されるとお伝えしましたが、その影響で製品の企画から市場投入までの期間が短くなります。
つまり、需要のある製品を、需要が高い間にタイムリーに供給することができます。
PLMシステムを導入する際には、自社に合ったシステムを選定することがとても重要です。
CADツールやプロジェクト管理ツールなど、活用している既存のシステムと連携できるPLMシステムを選ばなければ、活用できない可能性があります。
外部ツールとの連携性などを調べた上で、導入するPLMシステムを選定していきましょう。
また、現場と上層部とで認識を合わせておくことも重要です。
上層部だけの判断でPLMシステムを導入しても、現場に合っていなければ業務の効率化につながりません。
現状の課題点や導入後の費用対効果を社内全体で検討・共有した上で、PLMシステムの導入を進めましょう。
製品ライフサイクルにおける情報を一元管理できるPLMについてご紹介いたしました。
データを紐づけすることにより製品データの管理を効率化することができ、コストの削減や人的ミスの抑止にもつながります。
PLMシステム導入時には、目的の明確化や社員の意識改革も重要なポイントとなります。
自社の課題解決や生産性向上のためにも、PLMの導入を検討してみてはいかがでしょうか。