みなさんは「〇aaS」というアルファベットに「aaS」が付いた言葉を目にしたことがあるでしょうか?
SaaSやPaaSなどはご存じかもしれません。では、現在注目されている新たな移動手段サービス「MaaS」という言葉をご存じでしょうか。
今回は、その移動手段サービス「MaaS」についてご紹介いたします。
MaaSとは、「Mobility as a Service(モビリティ・アズ・ア・サービス)」のことで、モビリティは日本語では移動と訳されるので、MaaSは移動手段サービスと訳せます。
ICTを活用することで自家用車以外の全交通手段をクラウド化*して連携し、モビリティ(移動)を1つのサービスとして捉え、シームレスにつなぐ新しい「移動」の概念です。
現在の日本での自家用車以外の移動手段として一般的なのは、出発地から目的地までの道順を検索し、「鉄道・バス・タクシー・カーシェア・レンタルシェアサイクル」など、それぞれの交通機関ごとに個別に予約をしたり、料金を支払ったりしますよね。
MaaSではどうでしょうか。スマートフォンのアプリを立ち上げれば、出発地から目的地までの飛行機・電車・タクシーなどの公共交通手段の一括検索から予約・支払いまでができます。加えて、観光案内、飲食店やホテルの予約・支払いまでも一括して行うことが可能です。
MaaSの第一弾は、アプリとしてフィンランドのヘルシンキで誕生しました。ヘルシンキでは、サービス開始前移動手段の利用率では、公共交通機関が48%、自家用車が40%、自転車が9%でしたが、2016年のサービス開始後は公共交通が74%と大きく伸びたほか、それまであまりなかったタクシーの利用が5%に増加した一方で、自家用車は20%に減少したそうです*。
日本ではまだ普及しているとはとても言えませんが、フィンランドをはじめ、スウェーデンやドイツ、イスラエルなどでは活発にMaaSへの取り組みが行われています。
*クラウド化については、こちらの記事で詳しく書かれています。
*総務省より
MaaSから得られるメリットを、「ユーザー目線」から2つと「観光業目線」から1つ、「交通業目線」から1つご紹介します。
ユーザー目線
観光企業目線
交通業目線
出発地から目的地に向かうまでに必要な各公共交通機関だけでなく、カーシェアやシェアサイクル、ホテルなども組み合わせて検索から決済まですることが可能です。
従来の移動手段方法では、利用する交通機関が増えれば増えるほど、飛行機・電車・カーシェアなどを別々で探し予約するのでかなり面倒になりますが、それらをMaaSで一元化することで、ストレスフリーに目的地まで移動することができるようになります。
冒頭で、フィンランドの具体的な数値の推移で、サービス導入後に自家用車で移動する割合が40%から20%と半分になったことをお伝えしました。
公共交通機関の増加とが実現されることで、それぞれの公共交通機関で便の増加することから、利用する人も増加するという循環が見込めます。その結果、日本でも自家用車の使用率が低下し、渋滞の緩和が期待できます。
公共交通機関でのアクセスが不便だった地域へも、MaaSで観光客を呼び込めるようになれば、地方の地域活性化にもつながります。また、公共交通機関だけでなく、施設への入場料などもアプリで一括に検索から決済までできるので、有料施設への集客も期待することができます。
さらに、多言語対応することができれば、たとえ観光地側が多言語で対応することができなくても、海外からのインバウンド客に対応することが可能です。
MaaSのアプリから、交通業側が予約状況を把握することもできるので、オンデマンドバス*のような需要と供給にマッチした公共交通機関の運営が可能になります。
需要の少ない無駄な便をなくし、需要が高い時間への便に変更することで、運転手の賃金や乗り物の運用コストの削減を見込むことができます。
*オンデマンドバスとは、路線バスのような既定の経路や時刻表がない予約型のバスのこと
今回は、これから日本でもさらに普及していくのではないかと思われる「MaaS」についてお伝えいたしました。
メリットでもお伝えしたように、ユーザーは飛行機や電車、カーシェア、ホテルの予約など公共交通機関をまたいだ検索・予約・決算が可能になります。その動向に合わせて交通業は運便を調整できます。そうなることで、地方や観光地にも行きやすくなるので、観光業の盛り上がりが見込めます。
また、限界集落などの現地まで行くことが億劫だった過疎地も、MaaSにより気軽に赴くことができる身近な存在となり、活性化させることができるかもしれません。
さまざまな交通サービスの料金体系が統合されることで、定期券とは一味違った、一定区域内での移動が「定額で乗り放題」になるサブスクリプションなども登場するかもしれませんね。
MaaSを取り入れようか、MaaSに参画しようかと迷っている方は是非検討してみて下さい。
最後までご覧いただきありがとうございました。