AIという言葉はもうみなさんご存じだと思います。
AIとは人工知能の事ですが、AIの基盤には「機械学習技術」が活用されています。
機械学習を行うためには、高度な知識とさまざまなステップを行う必要があります。
知識がないから、手間がかかりすぎるからとなかなか機械学習を取り入れられていない企業がまだまだたくさんあるのが現状です。
そこで今回は、そんな機械学習の一部プロセスを自動化してくれる「AutoML」についてご紹介いたします。
AutoMLとは「Automated Machine Learning(オートメーテッド・マシン・ラーニング)」の略で、直訳では「自動化された機械学習」となります。
普段使われている意味としては、「機械学習モデルの設計や構築のプロセスを自動化してくれる技術」のことを指します。
一般的な機械学習のステップは、以下の流れとなっています。
データから何かを予測したり、分析したりするためには、まずデータを収集するところから始まります。
機械学習を効率よく、簡潔に行うためにあらかじめデータを加工・処理します。
例えば、機械学習させたいデータが何らかの画像であれば、画像のサイズや向きを整えておくなどデータの前処理をします。
データから学習させるために、モデルと呼ばれる予測に用いる計算手法やルールを作成します。
この学習モデルをどう構築するかにより、学習の精度が大きく変わります。
①②で抽出したデータをモデルに従い学習を行っていきます。
予測したい情報に合わせてモデルを選び、その後データを入力して結果を出力する規則算出をします。
学習に対してどのくらいの精度で予測が成功したのかを評価します。
①で収集したデータ以外のものをテストデータとして扱い、学習させていないデータに対しても期待と一致する結果になるかどうかを確認していきます。
精度が悪ければ再度モデルの構築・学習、場合によってはデータの収集からステップを繰り返します。
AutoMLでは、上記①データの収集から③学習モデルの作成までを自動化します。
適切な学習モデルを作成するためには、高度な知識や技術が必要とされています。
手間のかかるデータの収集から、高度な知識や技術が問われる学習モデルの作成までをAutoMLが担ってくれるため、以前よりも容易に機械学習モデルの生成が可能となりました。
AutoMLが行う具体的な処理としては、データの整形や表示するデータの選択、プログラムの改変、問題点の自動修正などがあります。
他にも、自動的にバグを検出して修正をしたり、システムのアップデートに合わせ他の部分も自動的に書き変えるといった機能も実現されつつあります。
現段階のAutoMLの目標としては、「プログラムが自動的にプログラムを作ることを可能にする」だと言われています。
AIなどの機械学習をベースとしている技術は、数多くの産業で活用され、効果を成しています。
そんな機械学習を用いたアプリケーションやアナリティクスが普及してきた結果、いかに効率的で効果的な学習モデル作成を行うかという部分が課題に上がるようになりました。
その解決策の1つとして、AutoMLが注目され始めました。
従来のAIの課題として、以下の4つが挙げられていました。
先ほどからの繰り返しになりますが、AutoMLは、データの収集から学習モデルの作成までの最も手間のかかる行程を自動で行ってくれます。
AIがノンコーディングで実現可能となるため、モデルを作成するために必要なプログラミングや、評価のために必要である高度な知識が必要なくなります。
AutoMLの実現でIT人材やデータサイエンティストがいなくても、機械学習の実現が可能になってきているのです。
*データサイエンティストとは、ビッグデータの分析を行う専門家のこと
不動産業ではキッチンやリビング、浴室など、アパレル業界では服のパターンや首元スタイルなどの写真データの分類を手作業で行なっており、とても負担になっています。
AutoMLツールに不動産業なら物件画像、アパレル業界なら服画像を一括で取り込むことで、画像分類の自動化に成功した企業があります。作業者の工数が削減でき、生産性が向上したそうです。
キャッシュレス化が進んでいる中で、不正利用も増加傾向にあります。
カードの使用状況を見れば異変に気がつくことは可能ですが、膨大な情報量の中からすべての決済情報を確認することは現実的ではありません。
AutoMLを活用することで、クレジットカードの不正利用があった際にアラートを出すことができるようになります。
不正利用検知後にコールセンターへ連携しユーザーへ電話をかけるといった迅速な対応を取ることで、犯罪防止につなげられます。
AutoMLツールの中には、Excelといって表敬式のデータに対応しているものがあります。
表形式のデータをAutoMLで学習させることにより、将来の需要予測が建てられるようになります。
一般的なAIツールなどでも需要予測が可能ですが、AutoMLを活用すれば知識が豊富でなくても、制度の高い未来予測が簡単にできるようになります。
製造業では、工場の設備などの故障予測に機械学習が活用されています。
各センサーデータなどをもとに、設備における故障の予兆を検知することで、ベテランの経験や勘に頼ることなく、事前修理・調整などの対応が可能になり、稼働率向上を実現します。
活用する際、最初にモデルを生成し、あとはそれを使い続ければ良いというわけではありません。
新たに増えるセンサーデータなどをもとに、継続的に「再学習」をおこない、精度を維持・改善する必要があります。
運用フェーズにおいて、毎回人力で担当するのではなく、AutoMLを用いることで、負担を最小限に抑えられます。
AI技術に必要不可欠な機械学習は、データ収集や加工、機械学習モデルの作成など自動化させるために多くの時間と労力がかかるのが現状です。
AutoMLを活用することで、手間と時間がかかっていた部分を自動化することができます。
AutoMLについて日本での普及はまだまだですが、海外では普及しつつあるので、近い将来日本でも広まっていくと考えられます。
実際にGoogleは、「AutoML Vision」というAutoMLツールを提供し始めています。
データの分析や活用を自動化することは、DXにもつながる事なので、ぜひ取り入れてみませんか?