在庫管理は多くの企業に共通する悩みの1つでしょう。需要変動への対応や納期の短縮、あるいは製造の各工程の調整など、在庫は重要な役割を担っています。しかしその一方で、多すぎる在庫は管理費用の増大や資産効率の悪化につながりかねず、在庫が少なければ販売機会損失や製造現場への影響が懸念されます。このため在庫の適正化は重要な経営課題ですが、実際にはそのために必要となる在庫管理が適切に行われていないという企業は少なくないようです。
昔からこの在庫管理を実現するシンプルな方法として、表計算ソフトで在庫管理表を作成しておき、入出庫のたびにその内容を更新する方法があります。ただ管理する部品や商品の種類が増えてくると、このような手作業での管理には限界が生じてくるでしょう。
在庫管理のための作業時間を確保できないことから管理表の更新が後回しになり、結果的に在庫管理表と実際の在庫状況が一致しなくなるケースも珍しくありません。最終的には棚卸しによって実際の在庫と在庫管理表を一致させることになりますが、その時々の在庫の状況が分からないのは、事業を進めていく上で大きな問題です。
在庫管理にまつわる、これらの課題を解決するために使われているのが在庫管理システムです。一般的な製品では、入庫や出庫にまつわる各種管理機能や在庫の照会、棚卸しなどのための仕組みを備えています。また受注や出荷、売り上げなどを管理する販売管理システムにおいて、機能の1つとして在庫管理が用意されていることもあります。
単体の在庫管理システムの場合、入出庫に伴う入力作業が必要であることに変わりはありません。そのため、管理のための作業を後回しにしたり、あるいは手作業の入力数で打ち間違いなどが発生したりすれば、システムに登録されている情報と実際の在庫が合わないという状況に陥ります。そこで販売管理システムと連携すれば、出庫数をシステムで把握することが可能になるため、出庫時の在庫数の自動調整が可能になるわけです。
ただ、販売管理システムとの連携だけでは手作業による管理から脱却することはできません。当然ながら、製造や購買による入庫が発生すれば、その内容の登録は人の手で入力するしかないためです。そのため、たとえば製造業であれば生産計画や調達計画を作成する生産管理システムとの連携が必要不可欠です。また商品を製造するための部品の在庫なら、生産管理システムや購買管理システムと連携することにより、在庫が一定数を下回った場合に、自動的に発注処理を行うといったことも可能になるでしょう。在庫は会計システムなどとも関係するため、在庫管理だけでシステムを考えるのではなく、業務全体の流れの中でシステム化を検討したいところです。
このように考えたとき、ベストなのはERP(Enterprise Resource Planning)パッケージです。ほとんどのERPパッケージは販売管理や生産管理、購買管理などと連携する在庫管理機能が備えられており、在庫にまつわるさまざまな管理業務の自動化を図ることができます。そのメリットの1つとして挙げられるのが、実際の在庫状況とシステム上の情報を一致させるための負担を大幅に軽減できる点です。
具体的には、生産や購買、販売管理などの処理において在庫に係わる処理が発生した場合、その内容で在庫管理の情報を自動的にアップデートすることが可能となります。これによって人手での在庫管理が不要になり、入出庫にかかわる業務を大幅に効率化することができます。また、必要なときに即座に在庫状況を把握できることも大きなメリットでしょう。
ERPパッケージによる在庫管理では、EDIの活用も視野に入れたいところです。EDIはElectronic Data Interchangeの略で、電子データ交換などと訳されます。商取引における情報を企業間で電子的にやり取りすることにより、受発注や見積もり、出入荷にかかわる業務を効率化できるのがEDIであり、すでにさまざまな業界でEDIによる受発注が行われています。このEDIを自社の業務に取り込めば、在庫管理業務のさらなる負担軽減にもつながります。
事業にかかわる一連の業務をトータルで管理できるERPパッケージには、それぞれの機能が密に連動することによって情報を一元的に管理することが可能になるメリットがあり、在庫管理もその中に含まれます。在庫管理に課題があると感じているのであれば、個別最適でシステムを考えるのではなく、全体最適の視点で現状のシステムを見直してみてはいかがでしょうか。
なおERPパッケージというと、導入に時間がかかるというイメージを持つ人も多いでしょう。しかし現在では短期導入の実績を持つERPパッケージがあるほか、適切なサポートを受けることによってスムーズに導入プロジェクトを進めることも可能です。もしERPパッケージによる在庫管理に興味があるのであれば、豊富な導入実績を持ち、適切なサポートを行えるベンダーに相談してみましょう。
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