ERPベンダーとしてクライアントを支援するなかで、企業の経営・業務課題の解決のためにERPを導入したものの、むしろ次から次へと新しい悩みが生まれてきて困っているという話をよく聞きます。
そこで今回は、ERPを導入したものの逆に困っている企業にありがちな悩みを思いつく限り集めてみました。
いくつかの実際のヒアリングを元に参照した内容も含め、現場ご担当者の実態に即した内容をお届けできればと思っております。
ERPへの不満について聞き込みを重ねていくと、悩みは大きく2つに区分されました。
1つ目は「経営の観点」の悩みで、2つ目は「現場の観点」での悩みです。
まず1つ目は、ERPの「導入時」に関するもの、個別システムや別のERPからの乗り換えといった類のもので、経営層や情報システム部門の責任者といった「経営の観点」での悩みです。
2つ目は、ERPの「導入後」に関するもの、通常業務を実施していくなかで発生している類のものです。こちらは、システムへの入力を行う業務担当者や採用・育成を行うマネージャーといった「現場の観点」での悩みです。
ERP導入に関する経営の観点での悩みは大きく上記5つに大分されます。各企業、さまざまな動機でERP導入に取り組むが、突き詰めると経営効率の向上、特に業務工数や経費などのコスト削減効果を見込んでいることが多いです。経営層は、Enterprise Resource Planningという言葉の通り、経営資源の最適活用を期待し、システム投資を行うわけです。ところが、想定していたコスト削減効果が得られず、投資コストの回収まで2〜3年が平均と言われるなかでそれ以上、長期化しているケースが散見されます。
以下は経理システムとしてSAPを使っている製造業のマネージャーから聞いた話です。
組織づくりに際して派遣社員を採用しているが、SAP操作経験のある方がなかなか見つからず、なかなか思うように採用を進められないと悩んでいるとのことでした。仕方なく、操作経験がない方であっても意欲のある人を採用するが、入社後のトレーニングに時間がかかってしまい、基本操作を独力で行えるようになるには、3ヶ月近くは必要とのことでした。
期末決算期などはERP熟練者が指導する時間の余裕がないため、繁忙期を見越して前倒しで採用やトレーニングが行われているといいます。
せっかく高いコストを投資して、経営改善を目指して導入したERP。しかし、その効果を実際に発揮するためには、実際は多くの「ヒト」・「カネ」・「時間」が必要になっていることがお分かりいただけたでしょうか。
次回は、こうしたあるあるなお悩みを解決してくれるベンダーの選び方や、社内のご担当者でも対応できる対処のためのチェックリストをご紹介します。