近年、テレビや電車の広告でよく見かける「デジタルトランスフォーメーション」という単語、略して「DX」。
デジタルへトランスフォームしていくということは、手作業を自動化したり、書類を電子化したりするのだろうと曖昧な理解をしている方も多いのではないでしょうか。
実はDXは身近なところに存在しています。たとえば、テレワークやフードデリバリーサービスなどはDXの成功事例です。
では、企業はDXに対してどのように取り組んでいるのでしょうか?
本記事ではDXの背景、そして企業におけるDXの具体例について紹介していきます。
DXを進めた先にある最終的なゴールは「ビジネスの変革」です。
DXには以下のようなステップがあります。
①既存システム、業務の見直し
②既存システムの刷新、新たな業務フローの運用開始
③浮いたコストを新しい分野へ投資、新たなビジネスモデルの構築
このうち②では、
などを実施します。
その結果として新たに生まれた人的リソースや、一元化した情報を活用することでビジネスチャンスを拡大させることがDXの本質となります。
しかし、ビジネスチャンスの拡大方法はDX以外にもあるはずです。
なぜ世の中では「DX」が大きく取り上げられているのでしょうか。
理由の1つとして、経済産業省が発表した「DXレポート」が関係しています。経済産業省が公開している資料のため世間の注目度も高く、「DX」がさらに浸透するきっかけになったといえます。
DXレポートとは、経済産業省が設置した「デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会」で行われた議論を要約して公開した資料です。
現在(2024年5月)までに4種類のDXレポートが公開されており、2018年に公開された最初のDXレポートに、「2025年の崖」について書かれています。そこに書かれている内容を簡単にまとめてみました。
「既存システムのブラックボックス状態を解消し、データ活用ができない場合、市場の変化に対応してビジネスモデルを柔軟に変更できない為、デジタル競争の敗者となる。国内においてDXを実現できない場合は、2025年以降、最大12兆円/年の経済損失が生じる可能性がある。(2025年の崖)」
(参考:経済産業省/DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~)
このような状態にならないために、「2025年までにシステム刷新を集中的に推進する必要がある」とDXレポートにも記載されています。
システムの刷新はDXへの取り組みの中でも効果が高いと言えます。
OSのサポートが切れていたり、部署ごとに別々のシステムを導入していたり、何十年も前にスクラッチで開発したシステムを使用している場合などは、システムの刷新を行うことをおすすめします。
これらのシステムは、運用の属人化、セキュリティリスクの増加、システム間連携の複雑化など様々なリスクを抱えているためです。情報化社会が加速していくこの先も使用し続けていくには、デメリットが大きいためです。
具体的に各企業ではどのような場合にシステムを刷新しているのか、今回は、数あるシステムの中でもERPシステムの刷新に焦点を当ててご紹介します。
ERPシステムでは、製造、販売、経理、会計、債権債務、人事など基幹業務を行うことができます。当然、業務は1つのシステムに集約されるため、データの一元化、さらにリアルタイム性が確保できるのが特長です。
これは業務効率化につながるだけではなく、データ分析をリアルタイムで行えることによる迅速な経営判断に繋がり、新たなビジネスチャンスのきっかけとなります。
参考として、上記のような取り組みをおこなっている実際の企業について、IPAが公開しているDX推進に関する事例集より2つ、簡単にご紹介します。
①株式会社商船三井の事例
取組:50年使い続けてきた自社開発ERPシステムの刷新
効果:船舶からのデータの送信間隔が1時間から1分となり、リアルタイム性を確保
②東京センチュリー株式会社
取組:2025年の崖問題への対策として基幹システムを刷新
現在準備段階であり、グループ会社との共同利用システムを目指す
(参考:IPA/DX白書2023 進み始めた「デジタル」、進まない「トランスフォーメーション」)
業務効率化・自動化のみで終わらず、浮いたコストを新しい分野へ投資し、新たなビジネスモデルを確立していくことが求められます。そのための第一歩としてシステムの見直しを進めてみてください。
DXは、「避けては通れない道」となりつつあります。
DXの本質を正しく理解し、情報化社会へ対応していきましょう!